ルアンパバーン (参照地図を開く)
ウドムサイ(09:30)→ルアンパバーン(13:30)と乗合トラックバスで移動する。ルアンプラバンは世界遺産に登録されたラオスの古都である。14世紀にラーンサン王国(百万の象)が建国され,それ以後500年にわたり王都としての地位を保ってきた。
ルアンパバーンは仏教文化が花開いた町でもある。国王の庇護のもと,多くの名刹が建立され,現在でも市内には80を越える寺院が残されている。この町でも世界遺産への登録を機に観光開発が急速に進んでいる。
ルアンパバーン行きはいつもの小型トラックバスであった。荷物を屋根に上げてもらい荷台に乗りこむ。出発を待っている間も断続的に雨が降り,運転手は屋根の下にまるめてあったビニールのほろを広げて,側面から雨が吹きこまないようにする。寒さ対策として長袖のシャツを取り出し,トレーナーの上から着込む。
道路の舗装はひどく傷んでおり道路面積の半分は深さ10cmくらいの穴になっている。トラックバスは大きく上下動を繰り返しながらこの悪路をかなりのスピードで走る。平野部に入ると道路状況は格段に良くなる。途中にたくさんの集落があり,山でとれる竹の子などが売られている。このバスは乗客が買い物をしたいといえばその場所で止まってくれる。
メコン川に沿ってのんびり歩いているとボート乗り場があり,夕日見物のポイントになっている。道路から川岸までは10m近い段差がある。転落防止用のコンクリートの柵が座るのにちょうどよい高さある。
たまたまここで日本人が3人そろい話をしていると,「ボートをチャーターして洞窟を見に行かないか」と船頭から誘いがかかる。料金は12$-15$,見学地を確認してから翌日のツアーの約束をする。
翌日メンバーが揃ったところで出発する。ボートは定員5人の小さなものだ。屋根が付いており真上からの日差しが防げるのはうれしい。川の水量は豊富で水は意外ときれいだ。ボートは時速20-30kmのスピードで進んでいく。水に手をつけるとボートの速度が体感できる。
最初は紙すきと織物の村を見学する。日本でいう「こうぞ」の皮を煮てから丹念にたたいて繊維質のボールを作る。これをすき板の上で水の浮力を利用して薄く均一にのばしていく。ころあいをみてすき板を静かに持ち上げ,そのまま乾かすと和紙と同じ紙ができる。
ここでは機織も見られる。織り機は木造の本格的なもので,黒い縦糸と色の付いた横糸を組み合わせて伝統的な模様を織り込んでいく。部分的な模様は別途小さな簸を使って作り出していく。いずれにしても手の込んだ作業のため1日かかっても50cmほどしか進まないだろう。
次は酒の村に到着。船頭は船に残り3人でラオス伝統の蒸留酒「ラオ・ラーオ」造りの工程を見物する。発酵させたもろみを(たぶんバケツで)ドラム缶の中に入れ蒸留する。ドラム缶の下ではまきが燃やされ,加熱より蒸発したアルコール成分は,ドラム缶の上に置かれた水の張られたたらいによって冷却され,じょうごと竹製の樋によって外に出てくる。
使用する道具,冷却水とも衛生面ではかなり疑問が残る。まあ,蒸留酒で病気になったという話は聞いたことがないので大丈夫なのだろう。この村では村人の生活を見学し,子供にはヨーヨーを作るなどしてのんびりしていると,時間が気になったのか船頭が迎えに来た。
今日のメインとなるパクウー洞窟は人々の信仰を集めた聖地である。メコン川からそのまま立ち上がった岸壁に洞窟がある。船着場から5mほど登ると入り口がある。奥行き10mにも満たない内部には多くの仏像が安置されている。
この上に第2洞窟があると案内板に書かれていたので,急な石段を登っていく。第2洞窟は奥行きが20mほどあり,暗い内部にはやはり多くの仏像が置かれ,天井にはこうもりが巣を作っているている。仏像に捧げられたローソクの弱い光に照らされた内部はなんとなくなまめかしい。
市場で朝食の材料を探していると露店の子供が紫色のごはんを食べている。珍しいのでどこにあるのと手振りで聞くと母親が「あそこ」と近くの露店を教えてくれた。おばあさんがやっているその店にはバナナの葉にくるまれたものが数個並んでいる。包みをあけて食べてみると,色付きごはん,小豆,ココナッツに砂糖が少し添加されている。紫色はごはんそのものの色のようだ。畑で栽培された古代米であろう。
プーシーを登り出す。丘の高さは100mで頂上には金色に輝く塔が見える。登ってすぐのところに料金所があり8000Kを徴収される。斜面にはプルメリア(インドソケイ)がたくさんあり,白やピンクの花とともに香りが楽しめる。頂上からはメコン川やルアンパバーンの町並みが一望にできる。塔や付属の寺には見るべきものはない。
ワット・シェントーンはこの町でもっとも美しいと言われているお寺である。それにもかかわらず観光客も少なく,静かなたたずまいをみせていた。ご本尊は金色もあざやかな坐像である。もう少し時間が経つと落ち着いたくすんだ変わっていくことだろう。建物の後ろの壁にはモザイク画が施されており,仏教寺院としては特異なものになっている。
シェントーンの少し先でメコンとナムカン川が合流している。ここではお坊さんが水遊びをしている。ふくらはぎまで川に入ると気持ちのよい冷たさである。
ラオス正月ピーマイラオまでまだ2週間もあるのにルアンではもう水かけが始まっているようだ。おばさんたちは炊事用の容器を持って,走ってくるバイクに水をかけている。しばらく見ていると,だれかれかまわずかけるのではちゃんと相手を選んでいる。犠牲者は若い男性が多く,一種の挨拶代わりといったところである。
ラオスに来たら一度は経験したいと思っていた薬草サウナにトライする。ゲストハウスから10分歩いて赤十字病院のサウナに到着する。奥に座っているおじさんに10,000Kを払いロッカーのカギを受け取る。
脱衣所で短パンに着替え男性用の扉を開けて中に入る。むっとする薬草のにおいと熱い蒸気に包まれる。中は普通のサウナよりずっと湿度が高く3分で汗が出始め,5分もすればびっしょりである。7分くらいで外に出て,やかんから熱い薬草茶をコップに注ぎゆっくり飲む。そして飲み終わると再びサウナに入る。これを1時間かけて5回繰り返すと心身がリフレッシュされる。