Home 亜細亜の街角 | 昆明 / 雲南 / 中国 / Apr 2003

昆明(クンミン)  (参照地図を開く)

雲南省の省都,標高1891mの盆地にあり,三方を山に囲まれている。市の総面積は15,561km2で人口は370万人である。1月の平均気温は8.5℃,7月が20℃と気候が穏やかなので「春城」とも呼ばれている。

昆明の歴史は古く,3万年前には人が住んでいた形跡が残っている。BC3世紀には真(さんずいに真)国が建国され,前漢の武帝から真王之印を与えられた。南詔国時代にはその東都として栄えた。13世紀フビライの雲南遠征により雲南行政省が置かれ,雲南地域の行政の中心地は大理から昆明に移り現在に至っている。


大理(400km)→昆明移動

大理(09:00)→下関(10:00)→昆明(15:30)とバス(68元)で移動する。大理のメインストリートの停留所からミニバスで下関に向かう。大理汽車站に到着すると入口で昆明と聞かれ,そうだと答えると窓口に連れて行かれキップを買わされた。これは乗客サービスではなく乗客の確保のためであろう。

下関→楚雄の間は片側2車線の高速道路になっている。途中で一方向を閉鎖して対面交通にしていたのには驚いた。周辺はほとんど農地になっており,傾斜のゆるやかな斜面は簡単な造りの棚田になっている。村の家はほとんどが2階家で,屋根は瓦でふいてある。

昆明の汽車站に到着すると,ここでも下関と同様に乗客の体温を計り,氏名とパスポート番号を控えている。そんなことをして何になるのかと聞いてみたくなる。SURSでは海外から情報の開示と対応のまずさを批判されたので,中国政府は面子の回復にやっきになっているようだ。


ここは大都会

昆明駅の近くにミニバスは到着した。雲南省の省都,昆明は大都会である。高層ビルが立ち並び,広い道路を車と自転車が行きかう。辺境の町の面影はどこにもない。

茶花賓館の近くまではバスで行くことができるが,ちょっと疲れ気味だったので贅沢をしてタクシーで行く。タクシーは賓館の中に入り,メインの建物の前まで行ってくれた。料金はメーターで8.6元と高くついた。

受付の女性はきれいな英語を話す。30元を払うと部屋番号の記載されたレシートを手渡され,これを旧館の係員に見せるとドミトリーの部屋のカギがもらえる。広さは10畳,3ベッド,トイレ付きで清潔である。部屋は国別に割り振られるようで,入れ替わり入ってくるメンバーはすべて日本人であった。

シャワーはフロアが異なり係員に聞いてようやく見つけることができた。お湯を全開にしてもちょっと暖かいなという程度である。賓館の敷地はとても広く,入口には民航のオフィスがある。2つの航空会社があり,バンコクまではどちらも1500元であり,ディスカウントはない。


東風東路を歩

翌日は茶花賓館の前を通る東風路を西に向かい,博物館まで歩いてみる。この道は東西の大通りなので,通りに面している建物は立派だ。帰りはバスにしようと考えていたので,バス停の名前をチェックする。省体育館,次は市政府なので分かりやすい。護国橋の大きな交差点の周辺にはブティックもあるしデパートもある。

ビルの形はそれぞれユニークで,その近代的な風景は日本の都会と変わらない。ちょっとした広場があり,そこには3頭の大きな角をもった羊が近代的な町並みを眺めている。ビルの谷間に隠れるようにイスラム教のモスクがある。元の統治下でこの地に送られたイスラム教徒の末裔が残っているようだ。目標の雲南博物館は月曜は休館日であった。

ここから花鳥珠宝街に向かう。周辺には観賞魚,小鳥,お土産屋が軒を連ね,昼の時間帯でも人出は多い。熱帯魚は1元前後,金魚は2-5元ほどである。海水魚も取り扱っている。小鳥も日本とほぼ同じ種類である。中国経済の発展は,ペットにお金をかけられるレベルまできている。

露店の絵画屋では苗族の女性を描いたすばらしい絵があり,言い値は350元であった。だいぶこころが動いたが,自宅にある標準のフレームよりかなり大きいので断念した。装飾品を扱っている店では大きな屏風絵を見つけた。中国服の美女管弦楽団というところか,表面が漆のように光沢があるため,光を反射して写真は難しい。


孔雀になつかれる

昆明の動物園はあまりお勧めできない。檻は鉄格子と2重の金網に囲まれており,肝心の動物はよく見えない。その中で孔雀園はお勧めである。ここではたくさんの孔雀が放し飼いになっている。鳥インフルエンザが流行っている現在はちょっと要注意だけれど,普段は間近で見ることのできない孔雀と触れ合うことができる。

孔雀の中の一羽が僕をエサか仲間だと勘違いして,さかんにつっつくので足で防御しなければならなかった。それにしてもこれだけ孔雀が集まっていると,ありがたみも薄れ,キジの大きいものがたくさんいる程度の感じだ。

広場にはたくさんの白い鳩がいる。彼らは動物園の客がまくトウモロコシを待っているのだ。人間が手にエサを持つと,手に止まってそれをついばむ。手を頭の上にかざすと頭が餌場になる。でも,人間の手や腕は鳩が止まるには太すぎる。鳩は止まろうとして腕を引っかくのでこれは痛い。


少数民族人形

宿から東の方向に歩き床屋を探す。体育館の少し先に屋台街があり床屋は簡単に見つかった。腕のほうはまあまあで,料金は5元とバンコクよりも安い。近くの露店の土産物屋には少数民族を題材にした人形がたくさん置かれている。雲南省には25の少数民族が住んでいるので人形の種類も多い。これは旅行者にとってはよいお土産になりそうだ。

近くには市場もある。長さ60cmほどの巨大なとうがんが半身にして売られている。形は瓜のようだが,断面はかぼちゃにそっくりな正体不明の野菜もある。根の部分から茎にかけて赤い色をしたダイコンもある。

発酵を利用した漬物は種類が非常に多い。大きなカメの中に入っており,その上の容器にサンプルが乗っている。カメから漬物を取り出すための専用の柄杓が付いている。トウガラシを使用したものが多く,色は赤いものが多い。


自転車専用レーン

宿の近くに歩道橋があり,そこから中国の現在の交通事情が見える。広い道路は車両,自転車,歩行者用に分離されている。経済発展が著しいとはいえ,庶民の足はまだまだ自転車が主流だ。ヨーロッパで環境対策として導入されている自転車専用レーンを中国ではあっさり実現している。

立派なバスや2階建てバスが走っている。注目したいのは車体に描かれた広告である。清涼飲料水と漆工芸会社のものだ。わずか25年弱の改革開放により,中国は共産党一党支配の元で完全に資本主義経済に転換してしまった。

広大な国土と多様な少数民族を抱える中国にあっては,民主主義で国を統治するのは難しいのかもしれない。別のバスには「直面非典,科学防治」と書かれている。中国はスローガンの国でもある。



大理   亜細亜の街角   バンコク→ ポイペト