Home 亜細亜の街角 | 金平 / 雲南 / 中国 / Apr 2013

金平(ジンピン)  (地域地図を開く)

「金平苗族瑶族泰族自治県」の比較的大きな町。山の尾根筋に町は広がっており,両側の斜面は棚田になっている。近くの斜面もほとんど棚田になっているので,適当に歩き回って棚田の風景を楽しむことができる。

この辺りの町では6日毎に市が開かれ,周辺の少数民族の人たちが集まる。彼らはまだ伝統的な民族衣装を守っているので,カラフルな衣装に目を奪われることになる。

市は毎日移動し,僕の知る範囲では金平→那発→孟拉→銅厂→大塞→阿得傳で一回りする。その他の町でもこのような市は開かれるようだ。この地域を訪れたら,日程を合わせてぜひ市を見学すべきである。

緑春(200km)→坪河移動

緑春(07:15)→坪河→者米(12:30)(13:10)→孟拉(16:00)(16:30)→金平(17:30)とミニバスで移動した。緑春の町は山の背にあり,その間を幹線道路が走っている。

汽車站は町の中心部にある。早起きして汽車站に行き,窓口で孟拉行きのキップを買う(29.5元)。大きな町は口頭で,ややこしい場合は漢字のメモを作り窓口に出すとちゃんとキップが買えるので,雲南の移動はそう難しくはない。

バスは走り出して30分ほどで停車した。運転手は後輪のダブルタイヤを外し,ブレーキの効き具合を確かめていた。停車していた場所には「封山育樹地区」と記されたコンクリートの碑があった。

中国政府も森林の重要性に気づいており,植林を奨励している。低下の一途をたどっていた中国の森林被覆率も少し上昇している。碑文にある「封山」とは樹木の伐採は禁じるという意味であろう。

バスは山道を進み,ほんのわずか元陽県を通り再び緑春県に戻る。案の定,辺境監視官が乗り込んできて乗客の身分証をチェックする。僕のパスポートは事務所で内容を記帳されたようだ。

標高の高いところでは雲海が見える。山の傾斜がきつく,谷が深いため棚田,斜面,そして雲海の作り出す景色はとても素晴らしくいつまでも飽きることはない。しかし,この風景は命がけである。方々でがけ崩れが発生し,路肩があと30cmしか残っていない所が何ヶ所もあった。

坪河→金平移動

坪河はすぐに通り過ぎてしまう小さな町だ。宿泊施設の有無は確認できなかった。者米までは川沿いの道が続く。川沿いの斜面は大きな水田,傾斜がきつくなると棚田になる。

者米で昼食になり何を食べようかと悩んでいたら運転手のグループが呼んでくれた。彼らは決してお金を受け取ろうとしない。この町には招待所しかないので外国人が宿泊するのは難しいかもしれない。

者米から孟拉までの道沿いにはバナナ園が目に付いた。水かけの子どもたちに気をとられていたらいつの間にか孟拉は過ぎてしまった。

車掌が教えてくれたのであわてて降りたが,よく考えると孟拉の宿泊が可能かどうかが分からない。しかたがないので次のミニバスで宿が確実な金平まで行くことにする(10元)。

片斜面の町

金平は道路沿いに発展した細長い町である。片斜面になっているため,谷側の見晴らしは良い。町の大きさに比して安宿は少なく,かつ高い。福徳旅館の部屋はきれいであったがトイレはあまりに悲惨であった。とてもその内容をホームページに書く勇気はない。部屋(50元)は8畳,2ベッドでとても清潔である。

それに比べるとトイレのひどさが際立つ。どうもこのあたりの旅社ではトイレに金をかけることはまったくのムダと考えているふしがある。そういえば,街の中心部には斜面を削って作った「民族団結広場」なるものがあり,そこには立派なトイレがある。

しかし,やはり個室にはなっておらず,前後の仕切りがあるだけだ。排泄物を流すためのみぞがはつながっており,利用者は排泄物を残したまま立ち去る。ときどき,係員が水を流すまでそのままである。

夜の9時頃,日記を書いていると受付の女性がやってきて,パスポートを渡せという。宿帳の記帳のためかと理解し渡す。しかし,20分経っても戻ってこないので受付に行くと,公安に持っていっているのであと10分ほど待ってくれとのことだった。確かにしばらくしてパスポートは無事に戻ってきた。

日記の最中に,ゴキブリの動きが目に入り,今朝の緑春での事件を思い出す。昨日の消毒は殺虫剤のだったようだ。朝起きると床の上に3匹がころがっており,机の上に一匹が苦しんでいる。ゴキブリはいやだが,ゴキブリがコロリと死ぬ殺虫剤をまかれたことのほうが健康に悪そうだ。

夜の広場

「民族団結広場」は町のイベント広場であり,人々の憩いの場所でもある。周囲は斜面を利用してベンチ型の観客席が設けてある。中央の噴水は周囲と段差がなく,落下した水は周囲の排水溝に流れ込むしかけになっている。

地面には照明が埋め込んであり,ライトアップされると噴水が照明色に染まる。夕方から人々が集まってきて,水かけ祭りのつもりか子どもたちがバケツや水鉄砲を持って,噴水の周囲であるいは噴水の中で水をかけあう。でも,標高があるので夕方になると長袖が必要になる涼しさである。

少数民族の女性たち

06:30頃から雨が降り出す。それほど強い雨ではない。小降りになってところで朝食に出かける。油条と砂糖無しの豆乳はとてもよい組み合わせである。民族団結広場の近くにはクワと籠を持った,たくさんのサニ族の女性がいる。彼女たちがなぜそこにいるのか分からなかった。街を歩いていると日雇い仕事をしている場面に出会い,そのわけが分かった。

消費経済はこの辺境の町にも浸透しており,彼女たちは現金収入を得るため,ここで仕事を待っているのだ。このおばさんたちはたくましい。一枚撮らせてもらい画像を見せてあげると大評判になり,撮影の要求があいつぐ。しかし,別のグループでは汚らわしいというように手を振られた。

街中ではサニ族の女性たちがレンガを運んでいる光景を見かけた。背負い籠にいっぱいのレンガはとても重い。斜面の町では工事現場まで車が入れないので建築資材は人手で運ぶしかない。別の場所では石を運ぶ女性の姿を見かけた。市場にはモノがあふれているが,それを手に入れるためにはお金という魔法の紙が必要なのだ。

紅頭ヤオ族の女性

赤い帽子の女性は紅頭ヤオ族のお年寄りの女性である。人の集まる市場でもひときわ目立っている。彼女たちは結婚したら頭を剃り,赤い帽子を被るという。しかし,最近の若い女性は頭を剃らず,赤い帽子を被ることもない。

イ族の女性

市場には多くのイ族の女性たちが見られる。彼女たちの編んだ髪はとても量が多い。近くで見ると毛糸が一緒に編みこんである。売り物は日本にはない野菜だ。山の斜面で作ったものだろう,根まできれいに洗ってある。お尻に敷いているもこげ茶色のものは,普段は背中にしょっている蓑である。

市場点描

猿回し

広場の前で人垣ができている。覗いてみると猿回しであった。出演者は男性1人と猿が3匹である。中国の猿回しはひとことで言うならば,人と猿が演じるどつき漫才である。どつかれるのは当然人間の方である。

内容は芸人が猿に何か芸をさせようとすると,その中の一匹が背後から背中に飛び乗って邪魔をする。芸人が棒で猿たちをせっかんしようとすると,一匹が棒を奪い,芸人を追いかける。中国人の観客と一緒に笑っていると,相棒がお代を集めに来た。僕もお楽しみ代として1元を払う。

レンガを運ぶ

市場点描 その2

市場点描 その3

金平から孟拉の方向に歩いてみる

金平から孟拉の方向に歩いてみる。民族衣装の子どもたちがいる。上着の下はTシャツになっているのが今風というところか。カメラを向けてもぜんぜん嫌がらない。近くの大人たちも笑顔でこれを見ている。モデルのお礼はフーセンである。

向かいの店では天秤棒の両端にそれぞれ10羽ほどのニワトリが逆さにつるされている。これから市場に持っていかれるようだ。きれいなダムの風景を楽しみさらに先を行く。周辺の斜面で利用しやすいところは棚田になっている。下から見上げると一段一段から水が落ちており小さな滝のようだ。

ハニ族の女性たちが整地作業をしている

ハニ族の女性たちが整地作業をしている。小さな子どもが2人いたのでヨーヨーを作ってあげようとザックを開けたら,近くの全員が押し寄せてきて「私にも,私には小さな子どもがいるの」と迫られる。

10個ほど作ってあげたが,きりがないので残りはフーセンにした。唯一の男性からは「村に来てごはんを食べていけ」と誘われたが,帰りの時間が心配なためお断りした。

雲南の七不思議

自称「雲南の七不思議」に挙げられるのが水パイプである。近くで老人がこのパイプでタバコを吸っていた。太い竹の節は抜いてある。下の方にタバコを詰める細い棒を取り付け,水を入れる。

タバコに火をつけ,口を付けて強く吸うとゴボゴボという音とともに煙を吸い込むことができる。中国には古くから煙管の文化があったと思う。なんでこのような面倒な器具ができたのか,そちらの方が不思議だ。

小学校を訪問する


緑春   亜細亜の街角   那発