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民族服の女性と天に届く棚田の景観

雲南省はいろいろな少数民族が暮らしている。その多くは伝統的な文化をまだ維持しており,地域の中心地の元陽の南部にはとくに日常的に民族服の女性を見ることのできるところである。平地はとても少ないので,多くの町は尾根筋に拡がっており,町の下には棚田が下の川筋まで続いている…このような風景が金平から西の緑春にかけて見ることができる。棚田といえば元陽(山の上の新街鎮)が有名であるが,緑春・金平間の棚田もずいぶん見ごたえがある。

この辺りの町では6日毎に市が開かれ,周辺の少数民族の人たちが集まる。彼らはまだ伝統的な民族衣装を守っているので,カラフルな衣装に目を奪われることになる。市は毎日移動し,僕の知る範囲では金平→那発→孟拉→銅厂→大塞→阿得傳で一回りする。その他の町でもこのような市は開かれるようだ。この地域を訪れたら,日程を合わせてぜひ市を見学すべきである。

元陽(新街鎮)

元陽という町は二つあり,棚田を見るためには山の上にある新街鎮に行かなければならない。宿泊施設もあるので,ここからローカルの乗り物を利用して棚田巡りを楽しむことができる。住民はハニ族が多く,イ族,ミャオ族も住んでいる。2003年の時点では新街鎮の街中でも多くの民族服のハニ族の女性を見ることができた。

青口(青は竹かんむりに青)の棚田

新街鎮からもっとも近い棚田の名所は青口(チンコウ,青は竹かんむりに青)であり,歩いても1時間はかからない。景色を見ながらの歩くと,幹線道路のすぐ近くから棚田が始まっている。幹線道路からそれほど高低差がないので,すばらしい曲線の風景を楽しむことができる。青口の村落は棚田の中心部にあり,幹線道路からはかなり距離がある。田植えを目前に控えて,人々は畦の修理,代掻き,魚の移動など忙しく働いている。棚田を見るのは水の入ったこの時期がもっともよい。田植えの後も稲がまだ小さいうちは棚田の曲線を十分に堪能することができる。

猛品の棚田

もっとも有名な棚田は猛品のものである。ここは距離があるので乗り物のお世話になる必要がある。途中で青(竹かんむりに青)口の棚田があり,その先に生(月へんに生)村方面の分岐点がある。中国では棚田のことを梯田という。日中どちらの言葉も階段状の農地の感じをうまく言い表している。この地域には唐代から多くの棚田があったという。猛品の棚田はビューポイントから見た場合,谷が深すぎて(風景が遠すぎて)写真にならない。棚田の一枚一枚が識別できないほどだ。

生(月へんに生)村の棚田

個人的には生(月へんに生)村周辺がお勧めである。元陽の汽車站(バスターミナル)から多依樹行きのミニバスに乗る。分岐点から左に入ると,道は砕いた石の平らな面を上にして敷いた石畳になっている。周囲には棚田や茶畑が広がっており,猛品ルートよりずっと風情がある。生村の辺りでバスから下ろしてもらい,幹線道路(新街鎮)に向かってのんびり歩いていく。ここから6kmくらいは「風景区」に指定されていた。周辺は棚田だらけであり,小さな集落を訪問し,棚田と人々の暮らしを見ながらのんびり先を行く。

幹線道路に向かって左手に「封山育林区」の石碑があり,右手に竹造りの小屋が見えたら,そこがこのルートのビューポイントの入り口である。ビューポイントからは180度の展望が開け,谷から山に競りあがっていく何列もの棚田が見える。それは感動的な光景である。たぶんスケールは猛品の方が大きいと思うが,ここは棚田までの距離がちょうどよい。旅行をしているとときどき「すごい」としか言いようのないものを見ることがある。ここの棚田はそれに該当する。