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思茅(スーマオ)  (参照地図を開く)

思茅市は面積3928km2,人口は約15万人,思茅地区最大の町である。街の中心を南北に振興路が走り,東西に辺城路と五一路がある。見どころは町の東南4kmにある梅子湖と町の東にある洗馬川をせき止めてできた人造湖の周辺の洗馬河公園である。思茅の北約50kmのところには,プーアール茶で名高いプーアール・ハニ族イ族自治県がある。

孟海(150km)→思茅移動

孟海(08:50)→景洪(11:00)→思茅(16:00)とミニバス(38.5元)で移動する。07:00に起きて汽車站に行き08:50発の普耳(プーアール)行きのキップを買う。思茅市は大きな町だが,必ずしも終点にはならないので,周辺の代表的な地名をチェックしておかないとキップが買えない。景洪の手前で公安の検問があり,定員オーバーの我々のバスは最後の乗客を降ろしてそれに備えた。

景洪から孟養までは高速道路,孟養から先は高速道路と別れて山道に入る。周囲の山の斜面にはすばらしい茶畑が広がっている。お茶の段々畑である。山の斜面の等高線に沿って緑の帯が何本も走っている。小さな丘は頂上まで緑の輪に囲まれている。このような風景は思茅までの間に数多く見られた。

思茅の少し手前で公安の検査があった。雲南省では省の下に州,その下に県あるいは市という行政単位があり,国境に近いところではその境界で公安の検査が行われる。

乗客は身分証を提示させられ,荷物はすべて開けさせられる。外国人も例外ではない。僕のザックは路上で開けさせられた。このような場面の写真をのんびり撮っていたら女性公安官に見咎められデジカメの画像を消去させらてしまった。

思茅の町

思茅は大きな町である。五一路の西外れにある思茅バスステーションから外に出て,東に歩き出す。すぐに教育賓館が見つかった。立派な外観の賓館のツイン部屋代は40元と言われた。一人で使用するのだからと服務員にお願いして30元にしてもらった。

部屋は6畳,2ベッド,T/S付きで清潔である。それに対して服務員は受付の後ろにある2畳ほどの部屋で2人が仮眠をとるようになっている。

豚の運命

> 宿で一休みをして街の西側を歩いてみる。汽車站(バスステーション)の先はどぶのようになった思茅河が流れている。近くに屠殺場がある。小型トラックから豚が降ろされた。

あさっての方向に歩いていくものはどやされて,建物の中に追いやられる。中には大きな計量器があり,豚たちは体重を計られ,記帳される。それにより価格が決まる。僕はその後の彼らの運命を見定めてはいない。

思茅河の周辺は煙っている

思茅河の周辺は煙っている。橋を渡って対岸に行くと,土手がゴミ捨て場になっている。一部のゴミがくすぶっており,そのため周囲が煙たくなっているのだ。ゴミ問題は意味合いは違うものの,先進国,途上国を問わず大きな都市問題になっている。中国の田舎町では消費経済の拡大に行政の対応が追いついていない。

ゴミの収集システムができていない地域では,人々は土手のように公共地にゴミを捨てることになる。自分の家の周りからゴミが無くなればそれでよい。ゴミに対する考え方は日本でもそんなに変わるものではない。

土手の向こう側はもう農村になっており,雲間から漏れる西日がのどかな夕景色を演出している。それは僕の立っているゴミ捨て場と化した土手と際立った対照を見せている。

コークスは焦炭と表記するらしい

夜の噴水

街の中心部には緑島公園がある。そこにはライトアップされた美しい噴水がある。音楽に合わせて水の動きを変化させるハイテク噴水である。

近くには舞台があり周囲にロープが張られている。舞台では大勢の若い男女が踊りの練習をしている。近々,何かイベントがあるようだ。

踊りの練習

早朝,僕の泊まっている賓館の前を何人かの師範学校の生徒が,手に手に衣装を持って歩いていく。昨夜の広場で朝練習があるようだ。

朝食をとって広場に行く。大勢の若者(ほとんどが女生徒)が総合練習のため本番の衣装で待機している。何人かの女生徒は頭飾りの手直しに余念が無い。踊りのメンバーの衣装は何種類もある。

緑色の衣装のグループは大きな作り物の木の葉を持っており,2人の写真を撮る。すると,他の衣装の生徒たちも集まってきて集合写真になる。

舞台前方のロープの外側には,大勢の観客が練習が始まるのを待っている。舞台の正面には「普耳茶祭り(China Pure Tea Festibal)」の看板がある。4月18-20日が本番なのであと3日しか残されていない。今日は監督が指揮を執り,総仕上げの練習が行われる。

薄い青色の衣装を着けた男女のグループ

最初に登場したのは薄い青色の衣装を着けた男女のグループで,総勢30名くらいで構成されている。現代的な集合ダンスでである。

水玉の精と緑の精

次は孔雀の羽の模様をあしらった白いドレスの女生徒(僕の付けた識別コードは水玉の精)が優雅なダンスを披露してくれた。

彼女たちが正面の看板の周りでポーズを取っていると,手に大きな木の葉を持った緑色の衣装の一団(緑の精)が現れる。彼女たちもダンスの後,正面に並びポーズを取ってから退場する。

赤を基調としたスカートの一団

次々と少数民族衣装の集団が登場する

この衣装の集団が全部で10種類ほど登場する。大変な数の若者が集められている。さすがは人口大国である。演出監督が時どき大きな声で注意を与える。

次々と少数民族衣装の集団が登場する

次々と少数民族衣装の集団が登場する

雲南のイベントの大きなテーマは民族団結である。50近い少数民族を抱えているので,省の安定のためには民族の共存は必要不可欠である。

このイベントでも3つの民族衣装の集団が出ている。それにしても,彼女たちの衣装のきれいさはどうだ。雲南でもこのような衣装は,祭りかイベントでなければもう見られない。

花の精

大きな扇子を使用する踊りは(花の精)中国の伝統である。ピンクは桃の花の色であろうか,白い服とピンクの扇の組み合わせが彼女たちの清楚さを引き立てる。

ピンクの扇子は流れるような円を描いたり,頭上で揺れたりする。艶やかな踊りはピンクの花壇を作って終了した。一通り踊りが終了すると,全員が舞台に坐り,監督が講評する。夕方の7時頃,彼らは再び踊りの練習に出かけていた。

思茅汽車站に掲示されている時刻表

中学校の共産党青年団

踊りの練習を見学してずいぶん時間を使った。梅子湖に行くバスを探してみたが,どうにも見つからないので,あきらめて洗馬河公園を目指して歩き出す。辺城路を東に歩いていくと左側に坂道があり,その上に中学校がある。

自転車通学の子どもたちは自転車を押して坂を登ってくる。学校の入り口には赤いたすきを付けた3人の生徒が並んでいる。たすきには「共青団精神文明」と書かれている。まだ中学生なのに共産党青年団への勧誘なのであろうか。

ここでも水かけ

洗馬公園に近づくとここでも水かけが行われていた。武器は水を入れた風船である。値段は10個で1元のはずであるが,売り手も,買い手も風船投げに熱中しており,売り物の代金回収率は50%くらいである。

ぼくも10個を手に入れ道行く人に投げてみる。重心が移動するためコントロールは難しい。水風船はむなしく地面に落ちて割れる。洗馬公園に向かう人々はみなバケツを提げている。

4人の女性グループの写真を撮ると,水風船を投げるポーズである。実際その後,水風船が飛んできた。カメラにとってはそれは凶器である。

洗馬公園の手前は高い道路になっていて,トンネルをくぐって中に入るようになっている。道路の上から大勢の人が公園内の大乱戦を見物している。下と上の間で水かけが行われているが勝負は自明である。

公園内に入ると,入口から100mくらいは危険ゾーンになっている。人々は手桶やバケツをもって盛大に水を掛け合っている。どこから水が飛んでくるのか分からないのでここは足早に通り過ぎる。

左手は湖になっており,東屋のような建物が見える。その先にはお茶屋があり,見晴台からは下にある有料のプールが見える。水着を着ている人もいるが多くは服のままで水遊びに興じている。


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