白砂糖は体に有害で黒砂糖は体に良いという説は本当でしょうか。「五訂食品成分表」を参照して砂糖および代表的な食品の100gあたりの成分を見てみましょう。カルシウム,カリウム,鉄のいずれにおいても黒砂糖は植物由来の食品としては優れた数値が示されています。サトウキビのエキスを凝縮したものですから当然かもしれません。それに対して上白糖はほとんどゼロに近い数値になっているのでミネラル補給という観点からは黒砂糖が体に良いというのは正しい考え方です。
ただし,砂糖はご飯のように大量に食べるものではありません。例えば黒砂糖を毎日20gづつ食べたとして1日に必要なミネラルをどの程度補給できるかを計算してみました。その結果はカルシウムが6%,カリウムと鉄が約10%ということです。十分とは言えませんが黒砂糖である程度のミネラルが摂取できます。
もっとも健康に気を使うのでしたら,玄米とはいいませんが,精白米をやめて5分づき,あるいは7分づきのご飯にするのがずっと効果的です。これは別にコメに限ったことではありません。現在,私たちが口にする小麦,ソバなども精製度が高く,その過程で重要なミネラルを失っています。加工食品はその性質上,どうしてもおいしさや食べやすさが優先されます。健康のためということであれば(食べやすい範囲で)できるだけ精製度の低い食品を食べることです。
成分分析表だけからは分からない黒砂糖の効用があるのかもしれません。長い間砂糖を生産してきた沖縄県には「黒砂糖は命を延ばすが,白砂糖は命を縮める」という古くからの言い伝えがあります。さすがに摂り過ぎない限り白砂糖が命を縮めることは無いでしょうが,黒砂糖が体にとってプラスになるというのは経験から生まれたことでしょう。「沖縄県黒砂糖工業会」のHPには次の3点で健康に有益であると書かれています。
(1) コレステロール・中性脂肪を低下させる
(2) 生物活性を高め,ストレスに対する抵抗力を促進する
(3) 含有カリウムが血圧降下作用をもつ
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