ジャナクプルダム駅
駅舎の上にある観光案内所で列車の運行時間を教えてもらった。
ジャナクプール→カジュリは06:45,11:30,15:20
カジュリ→ジャナクプールは08:03,12:13,16:03
カジュリまでの所要時間は1.5時間なので朝一の列車に乗り,半日をカジュリ村で遊び,夕方の最終で戻ってくるというプランとなる。
ホームにはインド菩提樹や榕樹があり,その周辺を高さ60cmくらいのコンクリートで囲んでいる。これは,ネパールではしばしば見かけるもので「チョウタラ」と呼ばれている。寺院においては聖なる木をこのように囲うこともあるが,一般的には荷物を人力で担いでいた時代にこの上に荷物を乗せ,木陰で立ったまま休息がとれるようにした施設の名残である。
田舎の風景
駅から戻る途中に田舎の風景が残っている一画があったので歩いてみた。土壁の農家風の家が何軒かあり,ミティラー絵画が描かれているものもある。しかし,その周囲はコンクリートの建物になっておりあまり絵にならない。
リキシャーが庭に何台も並べられているところがあった。サイクル・リキシャーは運転手が所有しているとは限らない。1日いくらの約束でリキシャーを借りてそれで営業する人も少なくない。まるでドミニク・ラピエール著の「歓喜の街・カルカッタ」のような世界がここには残っているようだ。もっとも歓喜の街の中では人力車であったが…。
クワ村に向かう
町から3kmほど南にある「クワ村」はミティーラ・アートで有名なところである。ミティーラとはネパールからインド・ビハール州の一部を含む地域であり,そこでは古くから女性が家の土壁に独特の絵を描く習慣があり,ミティラー・アートと呼ばれている。素朴な土壁に描かれたものを見るためにクワ村を訪問することにする。
200mmの望遠で牛車を撮るのはずいぶん簡単だった。55mmレンズではかなり近づかないと大きな写真にならない。しかし,相手は動いているのでシャッターチャンスの時間は短い。そんなときに自転車でも通ると機会損失ということになる。望遠レンズを使用するとズームが使用できるので,シャッターチャンス時間が長くなり多少のジャマが入っても撮ることができる。
少女のチャーイ屋
池の岸に曲がって生えているホウオウボクの木を撮ろうとして角度を考えていると,半開きの戸口から少女が姿を見せているので,そちらを先に撮らせてもらう。少女は姉を呼んで二人の写真となる。実はこの家はチャーイ屋であり,写真のご縁で頂くすることにする。姉は手慣れた手つきでチャーイを作ってくれた。日本では中学生くらいの子どもが,店をやっていることに複雑な思いであった。
クワ村の家と壁絵
クワ村は町から3kmなので散歩がてらのんびり歩いて行く。ジャナク・チョークからまっすぐの南に向かう道を歩く。道は昨夜と今朝の雨によってぬかるんでいる。道路の左側にミティラー画で装飾された門があった。どうやらここが村の入り口のようだ。
土壁の家はたくさんあるけれど肝心の絵はごく簡単なものがあるだけだ。この村はけっこう歩いたと思うのだが,ガイドブックにあるような優れものは見当たらなかった。
クワ村の子どもたち
ここがクワ村であることは確かであり,村の人もここがクワ村だという。村を歩いていると子どもたちは写真と一緒にチョコレート(これはキャンディーを意味する)をねだる。観光客がむやみにキャンディーをバラまくので子どもたちはこのようにスポイルされてしまう。
村であったほとんどの子どもたちがこの「ワン・チョコレート」を口にしていた。それでも「ノー・チョコレート」と言いながらたくさんの子どもたちの写真は撮った。肝心なミティラー画はほとんど写真にするようなものはなかった。
子どもたちの集団に囲まれる0
村のちょっとした広場で子どもたちに取り囲まれ集合写真を撮ることになった。しかし,子どもたちの行儀はすこぶる悪い。近くの男性から棒を借りて地面に線を引き,そこに並んでもらうことにした。この作戦はある程度効果があった。ようやく,大きな横一列の集団を二組に分けて撮ることができた。
「ノー・チョコレート」と言っているにもかかわらず,再び「ワン・チョコレート」の合唱が始まる。僕が本当に持っていないことが分かると,何人かの子どもは僕のザックをたたいたり,水のボトルを引き出したりする。これは,半分遊び,半分悪意が込められている。ボトルが地面に落ちたので,それを拾って頭をたたく仕草を演じるとクモの子を散らすように逃げていった。
バスを解体する
バスパークまで歩いてみるとやはり1kmはない。この程度の距離で50Rpというのだから驚く。アグラーのサイクル・リキシャーは2kmで25Rpである。この町のサイクル・リキシャーは利用価値はない。到着したバスパークにはほとんどバスはいなかった。ゼネストの混乱を避けるためにどこかに避難させたようだ。広いバスパークはがらんとしており,周辺の露店もお休みである。
バスパークの隅のところから金属音が聞こえてくる。二人の男性が簡単な道具で古いバスを解体している。すでに骨組みの状態であり,その骨組みを外そうとしている。バングラデシュで船の解体は見たことがあるがバスの解体は初めてだ。近くには解体を待つもう一台のバスがあり,こちらはまだバスの形をとどめている。
後日,再訪してみると,車台を残しバスは解体されていた。