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2008/03/15

酒と宗教


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世界にはいろいろな宗教がありますが,酒類を積極的に推奨しているものはないようです。反対に酒を積極的にあるいは間接的に禁忌としている宗教はたくさんあります。

■イスラム教=禁止

イスラム教では聖典コーラン(クルアーン)の中で「酒は心を乱す飲み物で悪魔の業であり,これを避けなさい」とはっきり禁止しています。これはイスラム教の創始期に飲酒におぼれイスラム教徒としての義務をなおざりにする人々が多数でてきたため,明確な禁忌となったと言われています。現在でもアラビア半島では外国人が泊まるホテル以外の場所では飲酒が禁じられています。しかし,アラビア半島から東に行くにしたがってこの禁忌はゆるやかなものになり,「酒におぼれない限り個人的な飲酒は認められる」程度に解釈する人もいます。

■ヒンドゥー教=好ましくない

数え切れないほどの神が存在し,教義を記した聖典をもたないヒンドゥー教では意外にも飲酒は好ましいものではないとされています。インドの街では非常に目立たないところに酒屋があり,人々は悪いことをするかのようにこっそり酒を買い求めていきます。外国人旅行者はホテルのレストランやバーで飲むことはできます。州により法律が定められているので,グジャラート州のように禁酒法が実施されているところもあります。また,禁酒法が実施されていない州もドライデー(禁酒日)があり,この日は酒類を一切販売されません。

■仏教=在家信者も禁止

仏教では在家信者の五戒(不殺生,不偸盗,不邪淫,不妄語,不飲酒)の中に不飲酒があり酒を飲むことが禁じられています。初期の経典にあたる「長阿含経」には釈尊が晩年に五戒の一つとして不飲酒を説いたという記述が残されています。仏教の理想とするところは,さまざまな苦や煩悩に満ち満ちたこの世にあって,乱されることのないこころの平安を得ることでした。そのためには八種の正しい道(八支)が必要であるとされてきました。飲酒は正しい行いや精進の妨げになるので排除されたのでしょう。

■キリスト教=ワインは神との契約の証

キリスト教の聖典である聖書には酒を戒める言葉は残されていません。有名な最後の晩餐の場面でイエスはぶどう酒の杯を持ち「この杯はあなたがたのために流される私の血による新しい契約である」と語られました。キリスト教徒にとってはぶどう酒は神との契約の証なのです。それでもクリスチャンの方のHPには「クリスチャンは自発的に自主的に酒の常習や酒酔いを避けるように心がけるべきです。それは酒への欲求や依存によって,神に従う生活が壊されるからです。酒への欲求や依存は神を求めず酒を求めていることになります」と記されています。

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