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2008/03/15

人類とアルコールは長い付き合い


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■文明の始めから酒はありました

酒の主成分はエタノール(エチルアルコール)です。日常生活でアルコールといえばエタノールのことを意味します。エタノールは糖類が酸素の少ない環境で微生物により分解されるときに生じます。したがって,人類の誕生以前から自然界にはアルコールが存在していたことでしょう。

特に果物はぶどう糖や果糖を含み,かつ酵母菌が付いているため容易にアルコールになります。人類が初めて口にしたアルコールはそのようなものだったのでしょう。遠い昔の人々はどうすればこの「よい気分にしてくれる液体」を作ることができるのか研究を重ねたことでしょう。その結果,世界の文明の黎明期からビール,ワイン,穀物酒は存在していたようです。文明が進むにつれていろいろな醸造酒造りの技術が確立し,酒はますます身近なものになったことでしょう。

現在の酒は大きく醸造酒,蒸留酒(スピリッツ),混合酒(醸造酒に蒸留酒を加えた酒)に区分されます。蒸留酒は醸造酒を蒸留することによりアルコール度数を高めたものです。蒸留技術そのものは歴史が古く,紀元前3000年頃のメソポタミアでは香水作りに蒸留機が使用されていたといわれています。また,紀元前4世紀にギリシャのアリストテレスは「海水を蒸留すれば飲める水を作ることができる」と文書に残しています。

■蒸留酒は命の水

しかし,醸造酒を蒸留しようと考えた人は長い間いなかったようです。8世紀になりヨーロッパの錬金術師がたまたま醸造酒を彼らの仕事道具である蒸留器に入れてみるとそれまで味わったことのない素晴らしい液体ができあがりました。彼らはそれを薬として扱いラテン語でアクア・ヴィタエ (Aqua-vitae),つまり「命の水」と呼んでいました。カタカナ表記ではアクア・ヴィーテとされることもあります。これが,現在につながる蒸留酒の始まりです。

その後,蒸留酒の製法はヨーロッパ各地に広まり,同時に「アクア・ヴィタエ」は各地の言葉に訳され蒸留酒をさすようになりました。あのウイスキーもアイルランドやスコットランドの古語にあたるゲール語のウシュク・ベーハー(命の水)が語源となっています。私の大好きな浦沢直樹のマスター・キートンには「ウイスケ・ベサ」という古い言葉が紹介されています。

■世界の酒いろいろ

現在,世界には非常に多彩な酒文化が存在しています。人々はその地域で得られる果物,穀物を利用して,その地域の風土や気候に合わせた方法で酒を作っています。

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