ビエンチャンに次ぐラオス第2の都市で,タイ・ラオス・ベトナムを結ぶ交通の要衝である。フランス統治時代の街並みが残っており,のんびり滞在するにはよい所である。ベトナムのフエとは国際バスで結ばれているので,その中継点として立ち寄る旅行者も多い。
タケク(H)→サワンナケート移動
タケク(H)→サワンナケートと乗合トラックバスで移動する。トラックバスの荷台には2列の固定ベンチシートに加え,中央にも長いすが置かれている。出発時の乗客は大人20人,子供5人である。僕の前の長いすには子供を抱いた母親が座ったため大変きゅうくつであった。さらにピーマイ・ラオ(ラオス正月)の最中なので時には水が入ったビニール袋が沿道から飛んでくるので油断はできない。
サヤムンクン・ゲストハウス
サワンナケートのバスターミナルからトクトクでゲストハウスに向かう。サヤムンクン・ゲストハウスは建物の外観も内部もきれいだ。親切そうなご主人に部屋代は4$と言われここに滞在することにする。部屋は6畳,トイレ・シャワー付き,小さ目のダブルベッド,洋服ダンス,洗濯物のハンガーがある。ベッドのシーツやシャワー室も清潔でとても居心地はよい。
ミンチ肉の串焼
遅い昼食に出かける。ゲストハウスの前の通りを北に行くと水かけを盛大にやっている。近くにミンチ肉を串に刺して炭火で焼いている屋台があるので3本を注文する。焼肉はとてもおいしく付け合せの生野菜も肉とよく合う。
作業を見ていると,ミンチ肉を串の回りに取りつけるのは難しいことが分かった。経験を積んだ母親は上手に取りつけていたが,経験の浅い娘が作った串は,焼いているときに肉がくずれて落ちてしまう。娘の失敗作は母親が串から肉を取り外し,焼く前のミンチ肉に混ぜて次の串を作っていく。
椰子の実を収穫する
椰子の実を収穫している作業者を見かける。椰子の木の上で実を切り落としている作業者は命綱を使用しいていない。ココナッツが落ちくる様子はまるで爆撃のように壮観である。頭に当たったらただでは済まされないので遠巻きに見物する。彼らはココナッツを収穫するだけではなく,古い葉を落とす作業もしている。ココヤシの葉は重さ20kgほどもあり,これも下敷きになったらただではすまない。
ラオス正月の朝
今日はラオス正月の朝である。昨夜のタイのテレビは各地のソンクラーンの様子を延々と報道していた。タイでは祭り,ラオスでは正月の差はあるが,人々は1年でもっとも暑い時期に水をかけあって楽しく過ごす。
水かけはいたるところで行われており,どこから水が飛んでくるか分からないので,カメラを下げた旅行者はあたりに気を使いながら西の地域を散策する。子どもたちは家の前で通行人が来るのを待ち構えている。僕は子どもたちにカメラを見せて水の洗礼からお許しを願う。彼らもヒザから下に水をかける程度で許してくれる。
水かけに使用する武器
水かけに使用する武器は多種多様である。小さなピストル型のものは引き金を押すとその圧力で水が飛び出す,少し大きなものはあらかじめタンクに圧力をかけておき引き金を軽く押すと水が飛び出る,1mもある水鉄砲は10mも水を飛ばすことができる,この水鉄砲と背中の水タンクを直結させたすぐれものもある。とにかく水を飛ばすおもちゃに関しては日本よりずっと進んでいる。
実はこのような水鉄砲は一度にたくさん水を飛ばせるわけではないので,かかってもちょっと濡れる程度である。これに対して,大人はたらいやバケツの水を容器に汲んでそれを直に通行人やバイクにかける。被害者(?)は1回でずぶ濡れになる。
一度濡れるとあとはもうムチャクチャ
何とか水の洗礼を受けずにメインストリートに戻ってきた。近くにテントを張って音楽を流しているところがあったので覗いて見ると,ビールとごはんがふるまわれている。ビールは遠慮して麺を食べているとポロシャツの中に水を流し込まれた。驚き,そして笑うしかない。さらに顔には食紅や天花粉を塗られもうムチャクチャである。
一度濡れてしまうと子供たちも遠慮がなくなり,ゲストハウスに戻るまでには完全に濡れてしまった。カメラはザックに入れていたので何とか無事であった。後日談になるが3週間後にカメラレンズのオートフォーカス駆動用モーターが壊れたのはこんなところに原因があるのかもしれない。
かけられるよりかける側が楽しい
写真はあきらめカメラを宿に置いてきて水をかける側に参加する。子供たちと一緒に容器の水を通行人,バイク,自転車,トクトクなど手当たりしだいにかける。トクトクの運転手はともかく乗客は気の毒である。ピックアップトラックの荷台に水桶を積んで回っているグループとは水のかけ合いになるが地上の方が有利である。
若い人たちの2人乗りのバイク集団が隊列を組んで通りかかる。彼らは格好の標的となり,水は盛大にまかれる。彼らも水をかけられることを楽しんでいるようで,同じグループが繰り返し前を通る。すごいお正月である。
教会で労働奉仕をする
水かけでにぎわっている表通りの喧騒を離れ教会の方に歩いて行くと,花束を抱えた4人の少女に出会った。彼女たちが教会に入っていくので自分も入ってみる。ここはカソリックの教会で中央にはイエスキリストと聖母マリアの像がかかげられている。
少女たちはシスターの指示で床の清掃を始めた。そのためには,重いお祈り用の机をひとつひとつ傾けて床を掃けるようにしなければならない。彼女たちが働いているのを見て僕も机を傾けるのを手伝う。机は2列で30ほどあり,けっこうな労働になる。やはり労働奉仕は気持ちが良い。
水かけの本当の姿
近くの仏教寺院では花びらなどを浮かべ香りの付いた水の容器を持参した参拝客が,台の上に並べられた仏像の一体一体にていねいに水を注いでいる。おそらくこの水に1年の無病息災や家族の幸せの願いを込めているのだろう。仏像から滴り落ちる水を手で受け止めて自分の頭につけるのは,仏の慈悲やご利益にあやかるためであろう。水かけの本来の姿はこのような真摯で敬虔な仏教行事に起因するようだ。