亜細亜の街角補足

稲作の起源


作物の起源を推定する方法として有力なものに「生物分類地理学的方法」がある。現在の植生や栽培状況をもとに起源地を推定する方法である。この方法は19世紀にスイス人の植物学者キャンドルが提唱したもので,起源地の条件として必要なものとして次の二つをあげている。
(1) 多様な栽培種が存在していること
(2) 野生種が広く分布していること
古代の人々はその地域にある野生種を改良して栽培種を作り出した。栽培種の栽培期間が長くなればそれだけ栽培品種は多様化していく。キャンドルの考え方はこのような考え方に基づいている。

しかし,稲作のように1万年以前にさかのぼる作物の場合,現在の植生や栽培状況をもとに起源地を推定するのは難しくなる。地球の気候変化や人類の活動による地域環境の劣化などにより,古代の植生と現代の植生が必ずしも結びつかないからである。

もっとも確実な方法は「埋蔵種子分析法」と「花粉分析法」である。どちらも,条件さえよければ1万年前の地層からでも原型を残している。稲作の場合はどのような形であれ「栽培種のモミ」が見つかれば,その時代にその地域で稲作が行われていたという確実な証拠になる。 ある遺跡で種子や花粉 稲作の場合,明らかな栽培の証拠となる「モミ」は条件さえ良ければ,1万年前のものでもにも8000年前の 多くの場合,この手法は有力である。しかし,稲については 稲作の起源をたどる ことは非常に難しい。古代の遺跡から炭化したモミが出土


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