亜細亜の街角
トロイ戦争の原因とその結末
Home亜細亜の街角| 亜細亜の街角補足

トロイ戦争の様子は古代ギリシアの詩人ホメロス作といわれているった叙事詩「イリアス」に英雄たちの物語として記されている。絶世の美女といわれたスパルタ王メネラオスの妃ヘレネをトロイの王子のパリスが誘惑し,トロイへ連れ帰ったことが原因でギリシャとトロイの戦争が始まる。

しかし,その発端はギリシャ神話の3人の女神,ヘラ,アフロディーテ,アテナが互いに自分が一番美しいと言って争う事件であった。3人の女神は論争の裁定をゼウスに申し出るが,ゼウスはこんな争いに巻き込まれては大変なことになるので,トロイの王子パリスにその役目を命じた。

3人の女神はそれぞれ自分を選んだらこのような贈り物をすると申し出るが,パリスは「この世で一番美しい女を与える」という申し出に心を動かされ,アフロディーテが一番美しいという裁定を下す。この世で一番美しい女とアフロディーテのどちらが美しいかはこの際追及しないことにしましょう。

さて,この世で一番美しい女というのがヘレネであった。当然,結婚する前のヘレネには大勢の求婚者がおり,その一人であるオデュッセウスは求婚者たち全員で彼女が誰と結婚しても残りの者は彼女を守るという誓いを立てさせていた。妻が連れ去られたことを知ったメネラオスはかっての求婚者たちに誓いを守ってヘレネを助け出して欲しいと要請した。

こうして,トロイ戦争が始まった。ギリシャ側の有力武将にはメネラオスの兄のアガメムノン(総大将),オデュッセウス,アキレス,アイネス,ディオメデスがおり,トロイ側ではパリスの兄ヘクトル(総大将),アイネアス,サルペードンがいた。

戦いは9年間続いたと「イリアス」は語っている。不死身の英雄アキレスはヘクトルと死闘を演じ,ついに勝利する。そのアキレスもバリスの矢により唯一の急所であるかかとを射られ亡くなる。アキレスを失いギリシャ側は一計を案じる。これが有名な兵士を中にしのばせた木馬作戦である。ギリシャの船は夜のうちに港を出て行き,あとには巨大な木馬が残された。

トロイ王プリアモスの末娘カサンドラは予知能力のあり,それが危険なものであることをみんなに告げようとした。カサンドラについては次のような神話(逸話)が残されている。美しいカサンドラに求愛したアポロンは「私の愛を受け入れてくれるのなら未来を予言する力を授けよう」と申し出た。

カサンドラはこれを受け入れ予言の力を授かったがどうしてもアポロンを愛することができなかった。アポロンは大いに怒ったが一度与えてしまった予言の力を失効させることはできないので,彼女の言葉を誰も信用しないように呪いをかけた。その結果,カサンドラは未来を正確に予言できるもの,誰にもその予言は信用されないという悲劇を背負うことになった。

このためカサンドラの忠告は誰にも信用されず,木馬は城内に引き入れられ,トロイの人々は戦勝の宴に酔いしれた。夜半に木馬の中からたくさんの兵士が出てきてトロイは壊滅する。