マグロは高度回遊魚
マグロ(鮪)は、スズキ目,サバ科,マグロ属に分類される魚類の総称です。 比較的暖かい海を好む高度回遊魚です。高度回遊魚とは排他的経済水域の内外を問わず広い範囲の海洋を回遊する魚類と定義されています。
左図はマグロ類の最大種でありもっとも価格が高いクロマグロ(大西洋クロマグロおよび太平洋クロマグロ,ホンマグロとも呼ばれる)の捕獲される海域です。クロマグロは広い海域を回遊しますが太平洋と大西洋を行き来することはなく,両者は亜種もしくは近縁種と考えられています。
漁獲域からクロマグロは暖流域に広く分布していることが分かります。大西洋では分布域がノルウェーの沿岸の寒帯域にまで広がっているのは暖かいメキシコ湾流がこの辺りまでやってくるからです。
海洋は大きく分けて国家の主権が及ぶ領海(沿岸から12海里),国家の経済的主権が適用される排他的経済水域(沿岸から200海里)と国家の主権も経済的主権も及ばない公海に区分されます。
海の面積の2/3以上を占める公海は文字通りの公の海であり,自由航行と漁業などの自由な経済活動が認められています。内陸国を含めどこの国でも自由に船団を出して漁業を行うことができますので,必然的に乱獲という問題が発生します。
そのため,国連海洋法条約においてはかつお,まぐろ,かじきなど特定の漁業資源の回遊域に当たる沿岸国と漁獲を行う国がすべて参加する国際機関によって保存管理すべきとしています。
しかし,実際には国家の規制が及ばない公海では乱獲を規制することは難しく,まぐろ,かじきなどの高度回遊魚は資源の枯渇が懸念されています。また,深海にある貴重なサンゴや海底生態系がトロール漁(底びき網漁の一種)で破壊される環境破壊も深刻となっています。公海における生態系の健全さを守ることは海洋環境問題の大きな課題となっています。