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銀河系を概観する

私たちの住んでいる地球は直径12,756km,質量6X1021トンという巨大な球体です。しかし,地球の外に広がる太陽系,銀河系(天の川銀河)に比べると砂粒に過ぎない大きさです。

太陽系には8個の惑星があり,太陽から最も外側の海王星までの距離は45億kmもあります。太陽から出た光が海王星に到達するまでには250分ほどかかります。距離の概念が地球上の単位を使用しているとあまりにも大きくなりますので,太陽系内ではAU(天文単位)を使用します。1AUは太陽から地球までの距離でおよそ1.5億kmです。

この天文単位を使用すると海王星までの距離は30AU,太陽系外縁天体(エッジワース・カイパーベルト)までが50AU,さらにその外側には散乱円盤は数百AUまで広がっています。その存在が仮定されているオールトの雲は10,000Auもしくは100,000AU(1.58光年)にまで広がっていると考えられています。

現在,太陽系にもっとも近い恒星であるケンタウルス座アルファ星までの距離は4.4光年です。太陽系においてはAU(天文単位)が分かりやすかったのですが,銀河系(天の川銀河)になるとさらに大きな単位が必要になります。

そのため光が1年間に進む距離9.46 X 1012 km(9.46兆km)を1光年と定義しています。この単位は銀河系を含む宇宙の距離を表すにはとても分かりやすい単位です。現在確認されているもっとも遠い銀河からの光は131億年をかけて地球に到達します。現在,見えている光は131億年前のものということになると,とてもロマンチックな気分にさせてくれます。

ところが…,検索画面に「光年という単位は2011年7月から廃止される」というニュースが出ていました。え〜っ,と絶句しながら当該サイトを開くと「Astro Arts」というまじめなサイトでした。

開いたページの空白領域を下にスクロールしていくと「この記事はすべて捏造記事です。記事中の団体や技術は,実在のものとは一切関係ありません」という文字が表示されていました。2009年のエイプリル・フールでした。やれやれ,ということで一件落着です。宇宙や星空を対象としたサイトならではの品のよい,しかしドキッとさせられるジョークでした。

さて,話を元に戻し銀河系について説明してみましょう。私たちの太陽系のある銀河系は中心部の厚い円盤状の形状となっています。円盤の直径は10万光年,厚さは中心部で1.5万光年,周辺部は1000光年となっています。太陽系外縁天体までの直径が100AU(0.00158光年)ですから,銀河系の巨大さが分かるかと思います。

銀河系は2000億の恒星と星間物質の集まりであり,太陽はその中でもっともありふれた星の一つです。銀河系の中心部には太陽の400万倍という巨大な質量をもったブラックホールがあり,銀河系全体はゆっくりと回転しています。太陽は銀河系中心から2万7000光年のところにあり,およそ2億年で1回転しています。銀河系が渦巻き状の形状となっているのはこの回転のためです。

銀河系(天の川銀河)は直径が10万光年という途方もない大きさをもっていますが,宇宙にはこのような銀河が1000億個はあると考えられています。宇宙の年齢(ビッグ・バンから現在までの経過時間)は137.2億年とされています。

そうすると,宇宙の大きさは137.2億光年より小さいということになりそうですがそうはならないようです。それは,光速以上の速度で宇宙空間が膨張しているためです。地球から見て遠くにある天体は(そこまでの空間全体が膨張しているため)より速く地球から遠ざかっているということになります。

現在の地球から観測できる範囲は約137億年前の「宇宙の晴れ上がり」の時点で地球から4200万光年離れた空間が限界値(事象の地平面)となっています。ここが現在の地球から観測できる宇宙の限界ということになります。この空間から発せられた光は(空間が膨張しているため)137億年かけてようやく地球に到達できたということになります。

宇宙の膨張速度は加速されており,現時点ではこの空間は465億光年の距離にあると推定されており,光速の3.5倍の速度で地球から遠ざかっています。銀河系の外に出ると「光年」という単位はある空間までの距離ではなく,その空間から発せられた光が地球に到達するまでの時間を表すことにもなります。

私たちの銀河系にもっとも近いアンドロメダ銀河までの距離は230万光年です。この程度の距離でしたら空間の膨張速度は光速に対して十分小さいので光年=距離と考えることができます。それでも,現在,地球から観測できるアンドロメダは230万年前の姿であり,現在は異なったものになっているかもしれません。

このように,遠くの天体を観測するということは宇宙の過去の姿を見ることになります。現在,観測できるもっとも遠い天体からの光は131億年前のものです。ということは,137.2億年前に誕生した宇宙の6億年後の姿ということになります。宇宙が誕生して物質が生まれ,そこからどのようにして現在のような銀河が形成されたのかを知る重要な情報をそこから得ることができます。


宇宙の始まりと未来

宇宙がどのような姿(静的・動的)をしているかについては1917年にアインシュタインが宇宙方程式を発表しています。彼は重力により宇宙がつぶれないようにするため「宇宙項」を方程式の中に組み込みました。

宇宙項は反重力的な性質をもっており,その力が重力と拮抗することにより静的な宇宙を考えたわけです。しかし,すぐに静的な宇宙は不安定であることが分かりました。アインシュタイン自身も「宇宙項は生涯最大の失敗」と述べています。

実際の宇宙が膨張していることは観測の結果から判明しました。1929年にハッブルは遠くの銀河までの距離を求める方法を見つけ出し,いくつかの銀河までの距離と赤方転移を調べることにより,すべての銀河は地球から遠ざかっており,その後退速度は銀河までの距離に比例することを発見しました。

この観測事実から宇宙が膨張していることが分かりました。宇宙が膨張していることが判明すると,過去の宇宙は現在よりも小さいものであったことが理解できます。宇宙の過去をさかのぼっていくと,宇宙は一点から始まり,急激な爆発的膨張により広がっていったと考えられます。この理論が「ビッグ・バン」と呼ばれ,宇宙の始まりの定説となっています。

このように宇宙の始まりは理論化されましたが,宇宙の未来はどうなるのかが次の課題となります。選択肢は二つあります。宇宙は永遠に膨張するのか,どこかの時点で収縮に向かうのかということです。宇宙の膨張速度が加速しているのか,減速しているのかがその決め手になります。当時の天文学界ではビッグバンにより爆発的に膨張を開始した宇宙は重力の影響により減速しているはずだと考えられていました。

ところが,20世紀の最後になって遠くの天体の精密な観測結果から宇宙の膨張速度は加速していることが明らかになりました。宇宙空間には未知のエネルギーがあり,それが空間を膨張させているのです。アインシュタインの宇宙項が新しい意味をもって再登場したわけです。

この未知のエネルギーは「dark energy」と呼ばれています。dark は暗いという意味ではなく正体が分かっていないという意味で使用されています。ダークエネルギーは現在の宇宙に存在するエネルギーの74%を占めており,残りはダークマターが22%,人類が理解している物質(をエネルギーに換算したもの)は4%ぐらいしかないことが分かってきています。

つまり,宇宙を支配しているのはまだ人類が解明していないエネルギーであり,物質ということになります。現在の宇宙論では宇宙は永遠に膨張するという考え方が主流となっており,未知のエネルギー,未知の物質の発見と膨張の加速が永遠に続くのかというところに焦点が移っています。


水素,ヘリウム以外の元素は恒星で作られました

ビッグバンで始まった原初の宇宙で生成された物質は水素(80%)とヘリウム(20%)だけでした。この存在比は「宇宙論」から導き出されたものです。そのような原初物質(ガス)が進化していく様子を日本の科学者グループが並列型のスーパー・コンピューターでシュミレーションしました。

シュミレーションは10万光年の領域で分子数で80%の水素と20%のヘリウムからなる宇宙生成初期の物質のふるまいを,太陽の半径(700,000km)程度の分解能で計算させました。分解能は宇宙空間におけるガスの重力収縮の最小単位であるジーンズ質量以下としています。

ガス雲からどのように星や銀河が形成されるかはすでに簡略化された形でシュミレーションされています。しかし,原初のガスがどのように進化していくかを既知の条件と物理法則をすべて入れ,かつジーンズ質量以下の解像度で計算させることは現代の高速コンピューターでも大変な時間を要します。

結果が出るまでに6年を要したと報じられています。その結果,宇宙誕生から3億年後にガス雲の中でファースト・スターが誕生しました。誕生直後の星の質量は太陽の1/100,中心温度は1万度,密度は0.001g/cm3でした。

この星は周辺のガス雲を取り込んで成長し,最終的には太陽の100倍の質量をもつファースト・スターになります。明るさは太陽の100万倍,青白く輝く星が宇宙に輝いていたようです。ファースト・スターはガス雲の中で次々と誕生します。その光景は現在も星が誕生している空間に輝く,若く青白い星の集団を彷彿とさせます。

左の「小マゼラン雲」の画像は「Hubble Site」より引用しました。私たちの銀河から20万光年の距離にある小マゼラン雲のTN90として知られる空間ではファーストスターのように青く輝く誕生して間もない巨大な星々の集団を見ることができます。生まれたての若い星々が彼らのゆりかごであった星間物質を明るく照らしています。中には質量が太陽の100倍ほどもある巨大な星も含まれています。

私たちの銀河ではこのような巨大な若い星の集団は見られませんので,小マゼラン雲は大量の星間物質をもつ初期の銀河の生き残りであると考えられています。小マゼラン雲の質量は私たちの銀河の6分の1程度と見積もられており,初期の銀河はそのように小さく不定形であったと考えられています。初期の銀河は何回かの合体により渦巻き状銀河に進化していくと考えられています。

小マゼラン雲はその近くの大マゼラン雲とともに私たちの銀河の重力につかまり,その周囲を回転していると考えられてきました。ところが最新の研究では大・小マゼラン雲と私たちの銀河の相対速度が非常に大きいため,私たちの銀河の重力では引きとどめることはできず,数十億年後には遠ざかっていくことが分かりました。マゼラン雲は初期の銀河と巨大な星の誕生の様子を私たちに見せてくれる興味深い研究材料なのです。

水素とヘリウムから構成される誕生直後の巨大な星は自らの重力で収縮し,内部は高温・高圧の状態になります。温度が250万度になると水素の熱核融合が始まり,ヘリウムが生み出されるとともに質量の一部がエネルギーに転換されます。この膨大な熱が内部の圧力を高め,自分の重力とつりあうようになります。これが恒星です。

時間とともに恒星の中心温度は上昇し,さらに原子番号の大きな元素が次々と生み出されます。太陽ほどの質量の恒星では(中心温度が上昇しないため)酸素や窒素の段階で反応は停止します。

恒星の寿命とその後のふるまいはその質量で決まります。おおまかにいって,恒星の寿命は質量の3-4乗に反比例します。質量の大きな星は中心温度が高くなり熱核融合反応がさかんに行われるため,短時間で燃料を消費してしまうということです。

太陽の寿命は100億年ほどであり,中心部の水素をほぼ使い果たすと,外層が膨張し赤色巨星となります。このときの太陽は金星の軌道くらいまで大きくなると考えられています。年老いた太陽はガスを放出しながら膨張と収縮を繰り返し,核融合反応をもたない小さくて高密度の白色矮星となります。

それに対して,太陽の8倍ほどの質量をもつ恒星は2000万年程度で寿命を迎えます。このような恒星は中心部の温度上昇とともに鉄までの元素を生み出し,中心部から外層に向かって,鉄,ケイ素,酸素,ネオン,炭素,ヘリウム,水素からなる多層構造になり,中心以外の各層で核融合が進行します。

そして,燃料が少なくなり核融合反応が恒星の重力を支えきれなくなると一気に中心部に向かって収縮し,その反動で爆発します。これが超新星爆発です。このとき,鉄より重い元素が生成されます。

ビッグバンにより生成された物質は大半が水素であり,それにわずかなヘリウムがあるだけでした。つまり,現在の地球を構成している鉄,ケイ素,炭素,酸素,カルシウムなどの元素は初期宇宙には存在しませんでした。

宇宙に存在する元素のうちヘリウムから鉄までの元素は恒星の核融合により生み出されたものであり,鉄より重い元素は超新星爆発時に形成されたものです。地球にはほとんどすべての元素が存在します。

そのことから,太陽系のもととなった星間物質(ガスやチリ)はそれ以前に寿命を終えた少なくとも一つ以上の大きな恒星で生み出されたものだということが分かります。そして,超新星爆発のような激しい活動は衝撃波あるいは高速なガスの放出により,近くの星間物質の密度にゆらぎをあたえることにもなります。


太陽系の誕生・・・それは巨大な恒星の死から始まりました

2000億の恒星が集団となり直径約10万光年,円盤状に渦をまくようにゆっくりと回転している銀河の中心部から約2.8万光年離れた空間で46億年前に小さな出来事が起こりました。太陽の数倍の質量をもった巨大な恒星が死を迎えました。巨大な恒星は最後に超新星爆発を引き起こし,星を構成する物質を周囲に撒き散らします。

この時点ではまだ太陽系は形成されておらず,周辺の空間には星間物質(大部分は水素,ヘリウムからなるガス,それより重い元素は小さなちり状の微粒子)が漂っていました。

星間物質の平均密度は1cm3あたり水素原子が0.1-1個程度にすぎません。しかし,局所的には星間物質の密度が100倍から100万倍ほど高密度に集まっている空間もあり,ガス雲(水素原子が20個程度),分子雲(水素原子が1000-100万個程度)と呼ばれています。

そのような空間は背後の星の光をさえぎるため,地球から見ると暗い空間となります。性能のよい望遠鏡で観察すると,背後の星の光によりぼんやりとした雲のように見えることから,星雲(Nebula)と呼ばれています。有名なものにはオリオン座の馬頭星雲(Horse-head Nebula)や龍骨座星雲(Carina Nebula)があります。

このような星雲は銀河系内にあります(銀河系内星雲)。一方,銀河系の外にある銀河も雲のような広がりをもっており,かってはどのような天体であるか分からなかったため星雲を呼ばれていました。その名残として「アンドロメダ大星雲」,「マゼラン星雲」などの呼称が残っています。

新しい星は星雲のように星間物質の密度の高い空間で生まれます。超新星の爆発による衝撃波は星の構成物質とともに周辺の空間に高速で伝播していきます。それにより,ある空間では星間物質が吹き寄せられて,密度が増加します。また,星雲内に密度のゆらぎを生じさせることになります。

星雲は数光年から数十光年の広がりをもっており,衝撃波のように外部からの力をきっかけに,ゆっくりと収縮と回転を始めます。宇宙空間では一定以上の質量(ジーンズ質量)のガス雲がある密度以上になると,ガスの圧力に重力が打ち勝って収縮します。

星雲全体の質量は太陽よりもずっと大きく,収縮と回転の中でいくつかのまとまりに分かれていきます。そのまとまりの一つ一つが恒星と恒星系を形作っていくことになります。このように,恒星は多数のものが同時に誕生することが多いと考えられています。

いくつかに分かれた星間物質のかたまりの一つが原始太陽系星雲となります。大きさは直径10,000AU程度と見積もられています。中心部では星の卵が形成されます。この星の卵は周辺の物質を集めて成長し,重力による収縮が進みます。

星の中心部は星間物質から解放された重力エネルギーにより高温・高圧の状態になります。そして,中心部の温度が100万度に達すると熱核融合が始まり明るく輝くようになります。原始太陽の誕生です。現在の太陽系では質量の99.8%を太陽が占めています。つまり,もともとの星間物質の大部分は中心部に集中したことになります。

中心部に質量が集中することにより原始太陽系星雲は回転を速め,星間物質は回転面に集まるようになり,扁平化していきます。この時期には原始太陽からの太陽風により太陽に近い空間の軽いガスは周辺に押しやられ,比較的重いチリが主体的に残ります。

原始太陽系星雲が回転運動をしていることはとても重要なことです。星雲を構成する物質には回転による遠心力が働き,それにより中心部で成長していく原始太陽の引力と拮抗するところに留まることができるからです。

回転面に集まった物質の空間密度がある値を超えると微少なチリ状物質は摩擦により静電気を帯びるようになり,小さな塊に成長していきます。物質が少しずつ大きくなると衝突・合体によりさらに大きな塊が形成され,重力がさらに周囲の物質を引き寄せるようになり,直径10kmほどの塊となります。これが微惑星です。平均的な直径は10km,質量は1兆トン,太陽系全体で10兆個ほどの微惑星が形成されました。

原始太陽系星雲は原始太陽の周辺を無数の微惑星が回転している薄い円盤状の姿をしている(原始太陽系円盤)に進化していきます。大きさは1000AU,形成に要した時間は100万年程度と考えられています。大きさが10kmほどの微惑星はそれほど熱変性を受けていませんので,原子太陽系の始原物質がそのまま固まった状態ということができます。

生まれたばかりの恒星の周囲に円盤状の構造をもつことは,太陽系だけに見られるものではありません。観測技術の進歩により,生まれたばかりの恒星系の周辺には多くの原始惑星系円盤が見つかっています。私たちの太陽がありふれた主系列の恒星であるように,太陽系が形成された過程も宇宙ではごく普通のプロセスなのかもしれません。

微惑星の構成要素は原始太陽異からの距離により異なっていました。原始太陽に近い領域の主要物質は鉄,ニッケル,ケイ酸塩など比較的重い物質であり,遠い領域では水素,氷,メタンなど軽い物質となりました。この境界は3AU(1AUは太陽から地球までの距離)あたりにありました。

そのような微惑星から現在の惑星が形成されることになりますので,惑星の性質は太陽からの距離により異なることになります。太陽系の内側の惑星である水星,金星,地球,火星は氷やガスの少ない領域のため重い物質からなる小さな惑星になります。

その外側の木星,土星は重い物質を核として周囲にある大量の水素,氷,メタンなどを集めて巨大なガス惑星に成長します。その外側にある天王星,海王星は成長が遅かったためガスは太陽風の影響であまり残されておらず,主として氷からなる巨大惑星に進化していきます。海王星の軌道長径は60AU程度です。

海王星の外側には原始惑星に成長できなかった微惑星が大量に残り,太陽系外縁天体と呼ばれます。この外縁天体を含めると太陽系の大きさは約100AUということになります。冥王星はかっては惑星として扱われましたが,現在では太陽系外縁天体の一つと考えられています。

火星と木星の間は惑星のない領域となっており,そこには無数の小惑星からなる小惑星帯を形成しています。このような小天体は原始微惑星が木星の大きな引力により破壊されたり微惑星から成長できなかった天体だと考えられています。

このように星間物質が収縮を始め,太陽系原始星雲が形成されてから現在のような惑星系が形成されるまでは1億年程度と見積もられています。つまり,46億年の歴史をもつ太陽系は最初の1億年間にダイナミックに進化し,その後の45億年はほぼその姿を維持しているということになります。

原初の星間物質は収縮するときにいくつかの階層により分割されていき,その一つ一つが恒星系に進化していきます。つまり,太陽と一緒に数十,あるいは数百の恒星が生まれたと考えられます。しかし,それらの星々は銀河系をゆっくり回っている間にバラバラになったと考えられています。

現在の太陽から10光年,あるいは20光年の範囲にはいくつかの恒星が存在しますが,それらはたまたま現在,太陽の近くにあるというだけで,太陽の兄弟というわけではありません。


微惑星の記憶を留める隕石

微惑星がどのような天体であったかを知る手がかりが隕石にあります。地球に落下する隕石は太陽系起源のものであり,太陽系の誕生時の何らかの記憶をもっていると考えられます。隕石は大まかに石質隕石,鉄隕石,および両者が混合したものに区分されます。

コンドライト隕石にはコンドリュールと呼ばれる1mmほどの粒子を含んでいます。隕石が大きな天体に取り込まれた場合は熱変性を受けますので,このような粒子は再溶融して消滅します。そのため,このような隕石は微惑星のかけらであり,太陽系の始原物質の記憶を留めていると考えられています。

この中で注目されるのはC1と区分されるコンドライト隕石です。この隕石には水や有機物が含まれており,とても興味深いものです。この隕石に含まれる元素の割合は水素やヘリウムのような軽いものを除くと太陽の元素組成に非常に近いことが分かっています。

このことから,C1コンドライト隕石は太陽系の始原物質がそのまま固体化したものであり,原始太陽系円盤で形成された微惑星のかけらということができます。C1以外のコンドライト隕石やエコンドライト隕石は微惑星になってから,衝突により何らかの熱変性を受けたものと考えられます。

石鉄隕石や鉄隕石は微惑星の衝突・合体により大きな天体に成長し,その中で少なくとも一度溶融したのだと考えられます。溶融によりより重い金属鉄は中心部に,軽いケイ酸塩は表面に留まります。つまり,溶融により成分が分化したわけです。

この分化という現象は地球でも起きており,地球の核は鉄とニッケルからできています。隕石の母体となった天体はその後の衝突により破壊され,そのかけらが隕石となりました。このように,隕石という地球外物質を調べることにより,原始太陽系でどのようなことが起きていたのかを知ることができます。

小惑星「イトカワ」に着陸して表面の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」は2011年の話題となりました。JAXAがこのミッションを遂行した目的は小惑星が原始太陽系円盤を形成していた微惑星の痕跡を留めている可能性があるためです。

実際,「はやぶさ」が持ち帰ったサンプルにより「イトカワ」の母天体は直径20km程度である程度の熱変性を受け,その後に別の天体と衝突して砕け,その破片が集まって「イトカワ」となったという歴史も分かってきました。


微惑星同士の衝突の中から惑星が成長します

原始太陽系円盤では原始太陽が輝きを増し,周辺では惑星が成長していきます。軌道の近い微惑星は互いに衝突し,あるときは破壊され,あるときは合体が繰り返されました。

そして,時間とともに軌道上でひときわ大きなものが成長するようになります。これが惑星の卵ともいうべき原始惑星です。原始惑星の質量と形成時間は太陽からの距離により異なります。多体問題専用計算機 GRAPEによるシュミレーションの結果は下記のようになります。

軌道の種類 原始惑星質量(トン) 形成時間(100万年)
地球軌道 1 X 1021 0.7
木星軌道 3 X 1022 40
天王星軌道 8 X 1022 200
参考:現在の地球 6 X 1021

原始惑星は現在の惑星の数倍が存在していたと考えられています。原始惑星は周辺の微惑星を重力で引きつけますます成長するとともに,原始惑星同士の衝突によりさらに大きな原始惑星が形成されます。最終的には軌道上で唯一の天体が残り,それが現在の惑星です。

太陽に近い軌道領域では微惑星が相対的に少ないため,重い物質から構成される小さな個体の表面をもつ地球型惑星となります。一方,太陽から遠い軌道領域ではより広い領域から微惑星とガスを集めることができたので,軽い物資から構成される巨大な木星型惑星が生まれます。

こうして中心に太陽をもち,直径約100億km(約60AU,海王星軌道まで)の太陽系が誕生しました。100億kmは途方も無く大きな数字のように見えますが,0.001光年(1光年=9.46兆km)に過ぎません。直径10万光年の銀河系においては芥子粒にもならない小ささです。


原始地球は微惑星を取り込み成長を続けます

地球は太陽から1.5億kmと近い位置にあるので固体の惑星になりました。誕生直後の原始地球は微惑星を引きつけさらに成長を続けます。現在の地球の質量は6X1021 トン,つまり60億・兆トンということになります。

微惑星の平均的な質量が1兆トンですから,地球ができるためには微惑星を60億個集めなければなりません。ある程度,地球が成長してからも想像を絶する多くの微惑星の衝突があったことでしょう。

原始地球に落下してくる微惑星の質量と速度が分かるとその運動エネルギーが計算できます。質量は平均で1兆トンですが,速度は原始地球の引力および空間における原始地球と微惑星との相対速度により異なりますので簡単には算出できません。

一つの目安として6500万年前に地球に衝突した直径10kmの隕石の衝突時の速度はおよそ20km/secとされています。衝突時に解放された運動エネルギーはTNT火薬に換算して6400万メガトンにもなります。ヒロシマ型原子爆弾は13キロトンですから,隕石の衝突エネルギーはその50億個分に相当します。

原始地球の質量は現在よりも小さかったのでその引力も比例して小さく,微惑星の衝突速度は20km/secより小さかったことでしょう。それでも,途方もない巨大な衝突エネルギーでした。

微惑星のもっている巨大な運動エネルギーは衝突の瞬間に大爆発とともに熱に変わります。そのような衝突が繰り返し発生しています。原始地球の質量が現在の地球の半分になってから,現在の質量に近くなるまでには1億年ほどの時間と見積もられています。平均して1年に30個の微惑星が落下していたことになります。

絶え間なく落下してくる微惑星により,原始地球の表面は溶けマグマの海となります。これがマグマオーシャンです。マグマオーシャンの深さは文献によりかなり異なりますが数100km程度と考えられています。これにより,鉄やニッケルなどの重い金属は地球の中心部に集まります。このマントルと核の分化は非常に短時間で完了しました。

微惑星に含まれていた揮発性物質は衝突時およびマグマの海から水蒸気やガスとなって放出され,濃密な大気を形成しました。現在の海にある水がすべて大気中にあったのですから,想像を絶する世界だったことでしょう。濃密な大気のもたらす温室効果により地表の熱は宇宙空間に逃げていかず,地表はますます高温化していきます。

もっとも,この時期にも地球全体が溶融することはありませんでした。それはマグマオーシャンが大気中の水分を取り込んでくれたからです。マグマは数%の水を含有することができますので,大気中の水分は減少し,それにより温室効果は低減します。

地球表面温度が低下し表層が固化すると,水分の吸収がなくなり,微惑星の衝突により再び大気中に水分は放出され,温室効果が増大します。このようなメカニズムが働き,地球の表層温度は岩石が溶ける程度の温度に制御されていたと考えられています。


地球史上最大の衝突(ジャイアント・インパクト仮説)

この時期に地球史上最大の衝突が発生しました。地球の数分の一という火星ほどの巨大な天体(テイア)が衝突したのです。この天体も地球と同じように微惑星の衝突の中で成長した原始惑星の一つだったと考えられています。正面衝突ではなかったので原始地球はかろうじて破壊を免れました。

衝突した天体は地球をえぐり,自分と地球の物質を周囲の空間にまき散らします。飛散した物質は原始地球の引力にとらえられ,再落下するものもありましたが,一部は地球の周回軌道を回るようになり,そこでで再集結してと呼ばれる新しい天体となりました。

コンピュータ・シュミュレーションによると,衝突後,1年から100年ほどで球形の月が完成するとされています。衝突時にテイアの金属核は原始地球の一部を覆うように形で残り,衝突時の巨大なエネルギーで溶融した原始地球の中心部に集まりました。

月の岩石は地球の岩石と非常によく似ていますが,天体としての比重は地球の6割程度しかありません。これは月の金属核が地球よりずっと小さいためです。

誕生直後の月は地球から2-4万kmほどのところにあり,それが地球との間の潮汐力の影響で少しずつ地球から遠ざかり,現在のように地球から平均38万km離れた軌道まで移動したと考えられています。

あまりにも近いところに巨大な天体があったため,地球は大きな影響を受けました。月が誕生した時点では1日が5-8時間ほどだった地球の自転速度は月との相互影響により次第に遅くなり,現在はおよそ24時間となっています。現在でも月の公転軌道は1年に3.8cmずつ地球から遠くなっており,地球の自転速度も少しずつ遅くなっています。

また,地球の自転軸が公転面に対して23度傾いているのも,ジャイアントインパクトによるものと考えられています。このような巨大な衝突は原始太陽系では頻繁に起こっていたと考えられています。コンピュータ・シュミレーションでは冥王星の衛星であるカロンも地球の月と同様に,約45億年前に大衝突によって誕生したということが示唆されています。

現在の月は地球の4分の1ほどの大きさです。太陽系のほとんどの惑星は衛星をもちますが,自分の4分の1もの大きさの衛星をもつのは地球だけです。木星や土星や多くの衛星をもっていますが大きなものでも惑星の20分の1程度です。

月という巨大な衛星をもつことにより地球の自転軸(地軸)は非常に安定化します。地軸は他の惑星の影響により大きく変化しますが,大きな衛星(月)がごく近くを周回しているためその影響がずっと軽減されます。月は地球気候の安定化装置として働いており,大切な隣人ということになります。

ジャイアント・インパクトは原始地球が経験した最大の衝突であり,最後の大衝突であると考えられています。そして、このイベントは原始地球を地球へと進化させました。地球はこのイベントにより完成(誕生)したことになります。


海は地球の進化に決定的な役割を果たします

時間とともに微惑星の衝突も減り,地表温度も徐々に下がり出します。地表のマグマは固化し薄い岩石の皮膜を形成します。それでも地表温度は数100℃もあり,水蒸気と二酸化炭素からなる200気圧,数100kmに達する濃密な原始大気の中では激しい対流が起きます。原始大気の表層では冷やされた雲が雨になります。しかし,雨はまだ熱い地表付近で熱せられ再び水蒸気に戻ります。

地表の温度がさらに下がると,ついに原始大気中の水蒸気が生み出した雨が地表に到達します。地球史上で最大の豪雨だったことでしょう。地表に到達した雨は蒸発しますが,地表の熱を効率よく宇宙空間に放出していきます。

何回かの蒸発サイクルにより海が誕生します。海の誕生の時期についてはいくつかの学説がありますが43億年前というのが有力です。海の誕生は地球の進化において,決定的に重要な役割を果たします。

誕生当時,金星にも地球と同じくらいの水は存在していました。金星は地球の兄弟星であり,大きさも質量もほぼ同じです。おそらく金星の原始大気も地球の原始大気と同じであったと推測できます。しかし,金星には海ができませんでした。

項目 金星 地球 火星
直径(km) 12,104 12,756 6,794
質量(トン) 4.9 X 1021 6.0 X 1021 6.4 X 1020
軌道長半径(AU) 0.72 1.00 1.52
公転周期(年) 0.62 1.00 1.88
自転周期(日) 243.0 1.00 1.03
表面温度(℃) 470 15 -140〜+20

その理由は地球と金星の太陽からの距離でした。太陽から金星までの距離は0.723AU(約1.11億km),地球までの距離は1AU(約1.5億km)です。金星の方が太陽に近いためより大きな輻射エネルギーを受けることになります。

その結果,微惑星の衝突が一段落した後も温度が臨界温度以下に下がらず,原始大気中の水蒸気が雨になることはありませんでした。上空の水蒸気は太陽からの紫外線により分解され,軽い水素は重力では引きとめられず宇宙空間に逃げていきました。

現在の金星の表面には水はなく,二酸化炭素を主成分とする90気圧の濃密な大気による温室効果のため,表面温度は約470℃となっています。太陽からのわずかな距離の差が水の惑星と灼熱の惑星の分岐点となったわけです。

海はその後の地球の進化に決定的な役割を果たします。原始の海は温度が150℃,強い酸性を示していました。それは,地球誕生時に塩素,二酸化硫黄などが脱ガスしており,それが海水中に溶けていたからです。

しかし,表層の岩石から溶け出したナトリウム,カリウム,カルシウムなどの陽イオンが速やかに酸性の海を中和していきます。陽イオン中でもナトリウム(Na)は塩素(HClの形になっています)との反応性が高く,膨大な量の塩(NaCl)を形成しました。

地球上ではNaはClに対してはるかに多く存在しているため,海水中の塩素を中和するのに必要な分だけ溶け出し,中和が完了したところで動的に平衡します。その後,長い海の歴史において海水中の塩分(NaCl)は多少の変動はあるものの,だいたい同じであったと考えられます。

大陸ができると岩石の浸食が始まり,河川によって海にさまざまな陽イオンを運ばれてきます。その量は海水中のイオンの総量に比して十分に大きなものであり,長いナトリウムでも5500万年,短いカルシウムではわずか100万年で現在の海水中の量になります。

歴史的に海水中の陽イオンの量はほぼ一定(2倍や半分にはなっていないという程度の意味です)ですので,上記の値はイオンが海水に留まっている平均時間(平均滞留時間)であると考えられています。

海水中に新たに補給されたイオンの量と同じ量が海水中から取り除かれていることになります。それは,海底で堆積(堆積岩の形成)したり,海洋地殻と一緒にマントルに取り込まれたり,大陸に付加されていると考えられます。

海の誕生後,大気中には60気圧の二酸化炭素が残りました。中和された海は二酸化炭素を吸収し大気中の二酸化炭素は急激に減少していきます。二酸化炭素による温室効果も急激に低下し,地球の表面温度も下がっていきます。表層の岩石の温度も低下して剛体化し,プレート・テクトニクスが機能するようになります。

海水中に取り込まれた二酸化炭素は炭酸イオンとなり,海水中の陽イオンと反応し,石灰岩などの炭酸塩鉱物が作られます。海底に沈殿した石灰岩は海洋プレートの一部となり地球内部に沈みこみ,二酸化炭素とケイ酸塩岩石に分解され火山性ガスとなって大気に戻ります。大気中の二酸化炭素は数気圧まで減少し,そこで平衡します。

二酸化炭素をさらに減少させたものは大陸の出現です。海底に沈殿した石灰岩は地球内部に沈みこむとき,その一部は大陸に取り込まれ固定化されるようになりました。大陸の地殻が石灰岩の貯蔵庫になったわけです。これにより地殻から再放出される循環二酸化炭素量が減少し,窒素を主成分とする1気圧の大気となります。

こうして説明していると地球環境は現在のように生物にとって好ましい姿に進化していくように見えますが,そう簡単なものではありません。地球環境を支配する主要因子として次のような要素が考えられます。

(1)太陽の放射量
(2)地球内部と表層との間の物質循環
(3)大陸と海洋の配置
(4)自然界の物質循環に影響を与える生命活動

結論から言うと太陽の明るさ(放射量)は時間とともに増大しています。地球内部と表層との間の物質循環の主要な担い手は海底山脈や陸上の火山(内部→表層),およびマントルの沈み込み(表層→内部)であり,どちらも単方向ではないにせよ時間的に大きく変化する要素です。

大陸も数億年のスケールで離合集散を繰り返しています。生物は無機物としての二酸化炭素循環に対して,有機炭素を陸上と海洋中に固定化することにより,大きな影響を与えます。また,酸素の放出により大気の成分を大きく変えてきました。

つまり,地球環境に大きな影響を与えるそれぞれの要素は変化するものですから,現在のおだやかな環境は多くの変化する要素の結果としてあるものであり,長いタイム・スパンで考えると必ず変化するものなのです。

人類活動の結果として大気中に放出された二酸化炭素による温暖化も大きな変化の中における小さなゆらぎに過ぎません。とはいうものの,現在進行中の地球温暖化は,人類の生存基盤を危うくする可能性が高いので対応が求められています。

しかし,それは人類的環境問題であり,地球環境問題ではありません。過去の歴史をみても,地球上の生物は環境の激変に立派に対応してきました。生物は環境にもっとも適応してきた種が繁栄します。それは逆に言うと,環境の変化は繁栄している種にとっては致命的なものになる可能性があります。

現在,地球上でもっとも繁栄している種は人類です。科学の力により人類は地球の表面を大きく改変しながら,大繁栄をしています。それは,この1万年間の環境が例外的に安定しているという偶然の賜物なのです。しかし,環境が少し変化すると,平均気温が2-3℃上昇すると,人類の繁栄は大きく脅かされることになります。

地球環境にとって最も重要な因子は太陽から受ける輻射量です。地球に海ができた頃(40億年前)の太陽は現在より25%ほど暗く,徐々に光度を増してきました。これは太陽の中心部で起きている熱核融合の性質によるものです。

太陽からの輻射熱が25%も変化したら地球の環境は激変します。現在の地表の平均気温15℃を基準に考えると,40億年前から地球はどんどん冷えて凍結するというシナリオになります。しかし,海の歴史の大半において液体の海が存在していたことは分かっています。これを「暗い太陽のパラドックス」といいます。

暗い太陽のもとで地球を凍結から守ったものは二酸化炭素による温室効果であると考えられています。大気中に酸素が存在しなかった時期にはメタンガスも重要な温室効果を担っていたと考えられています。

太陽の光度の増加に合わせて,大気中の二酸化炭素が減少すれば,地球は液体の水が存在できる環境を維持することができます。太陽の光度はほぼ直線的に増加していますので,それに見事に対応するように大気中の二酸化炭素が地球的に制御されたのは偶然の結果です。

ときには,二酸化炭素の減少により地球の表層が凍結する大氷河期(全球凍結,スノーボール・アース)も何回かありましたが,大半の期間は液体の海面であったわけです。

地表全体が氷雪に覆われるとアルベド(地表の反射能)が高くなり,太陽光を反射するため,地表はさらに寒冷化して再び液体の海には戻らないと考えられてきました。実際,全球凍結は数千万年から1億年以上も続いたと考えられています。

しかし,地球内部と表層間の物質循環により二酸化炭素が供給され続け,大気中の二酸化炭素が現在の500倍くらいになると気温が上昇し,一気に氷床は融けたとされています。

逆に地球内部の物質が短期間に大量に噴出することにより,二酸化炭素が増大した時期もありました。2.5億年前の古生代と中生代の境界ではシベリア洪水玄武岩の噴出により大気中の二酸化炭素は現在の5-10倍にもなりました。

それに続く中生代(約2億5000万年前から約6500万年前)はとても暖かく,地球の平均気温は現在よりも5-10℃高かったと考えられています。この時代の北極圏や南極圏は亜熱帯性の気候であり,熱さから逃れるために動物や植物がこれらの地域に進出しています。

しかし,二酸化炭素は徐々に減少し,6500万年前に始まる新生代では地球は寒冷化していきます。南極大陸が極地に位置しているため,地球のアルベド(反射能)が増加しているのも一因です。

地球が太陽から受ける全輻射量は公転軌道の変化により影響されますし,地域的な輻射量は地軸の傾きの変化により影響されます(ミランコビッチ・サイクル)。中生代のように暖かい時期にはそのような影響は相対的に小さかったのですが,新生代のように寒冷化が進行していくと,目に見える影響が現れます。

新生代最後の300万年間は氷河期(全球凍結のような大氷河時代ではなく,北半球の氷床が増大するもの)とされており,北半球では氷床が発達する氷期と相対的に暖かい間氷期が4万年と10万年の周期で起きています。最後の氷期は約1万年前に終わり,現在は間氷期にあたります。

地球の未来環境はどうなるのでしょうか。現在も太陽の輻射量は1億年で1%ほど増加しています。それに対して地球には赤外線放射以外の特別な冷却装置はありません。

表面温度は太陽から受ける輻射量と地球が放出する波長の長い赤外線の熱量のバランスするところで決まり,上昇していきます。そして,太陽からの輻射量が現在より10%ほど上昇すると異変が生じます。

地球上に存在する温室効果物質のため,輻射量が増えても放射量は減少してしまいます。地球は熱的な暴走を開始します。それは「惑星の表面温度と放射モデル図」のG点に相当します。温暖化ガスが大気中に大量に放出され,最終的にはD点で落ち着きます。このときの地表温度は現在の金星(470℃)より少し低い程度であり,海は消滅することでしょう。


地球はどのような元素からできているのか

地球がどのような元素から構成されているかは興味のそそられるところことです。宇宙に存在する元素のほとんどは水素とヘリウムであり,質量比率は水素が75%,ヘリウムが25%ほどです。この比率は太陽でもほぼ同じです。

それに対して地球では鉄=34.6%,酸素=29.5%,ケイ素=15.2%,マグネシウム=12.7%,ニッケル=2.4%,硫黄=1.9%,カルシウム=1.1%となっています。上位4元素で92%を占めています。意外とシンプルな構成なんですね。太陽系の始原物質の大半を占める水素やヘリウムは地球軌道では原始太陽からの太陽風により吹き払われてしまい,存在比は非常に小さくなっています。

鉄はほとんど地球の中心にある核に存在しています。また,酸素の大半は大気中や水ではなく,ケイ素やマグネシウムなどと結合して地殻やマントルに存在しています。

人体は水,脂肪,たんぱく質,骨格からできていますので酸素,炭素,水素,窒素,リンが主要構成元素となっています。リンとカルシウムは骨に多く,リンは核酸やADP/ATPのようなリン酸にも含まれています。

ナトリウム,マグネシウム,塩素,カリウムはおもに体液中に存在しています。また,硫黄はたんぱく質を構成するアミノ酸に含まれています。これらの元素は常量必須元素といいます。

人体ではごく微量しか必要としない元素にヨウ素(ヨード)があります。海藻や海産物をよく食べる日本人では十分なヨウ素が摂取できますが,内陸国ではしばしば不足して,甲状腺異常が多数発生しています。