亜細亜の街角
小さな谷の小さなオアシス
Home 亜細亜の街角 | Gulmit / Pakistan / Jul 2004

グルミット  (地域地図を開く)

パスーから20kmほど南に下ると,フンザ川沿いに小さな谷が開けており,そこにグルミットの村がある。周囲は切り立った山に囲まれており,カラコルムの風景を楽しむことができる。

村の大半は麦やじゃがいもの畑になっており,のどかな田舎の景色が広がっている。KKHは村の東側を通っており,その横をフンザ川が灰色の流れを見せている。

フンザ川はKKHのすぐ横を山々の間をぬって悠然と流れている。上流側には少し小さくなった「Catedoral Peaks」がそびえている。村はフンザ川の作った小さな谷間にある。

どちらを向いても急峻な山に囲まれており,わずかにフンザ川の流れる南北方向のみ視界が開けている。村の背後にはシュトゥーバ峰が迫り,灰色の氷河が顔をのぞかせている。

人々はわずかな傾斜地に畑を作り,麦やじゃがいもを栽培している。また,わずかばかりの家畜を育てている。ここでは緑の植物はすべて貴重な資源になっている。麦やじゃがいもの茎は言うに及ばず,岡の斜面に生える草も家畜の飼料として利用される。

畑では春に蒔いた小麦が収穫の時期を迎えていた。麦の茎を根本から刈り取り,そのうち何本かを使って麦を束ねる。雨があまり降らないので麦の束を畑に放置して乾燥させる。

男たちはもっと標高の高い夏の村で放牧をしているのか,村には働き盛りの男の姿は少ない。畑に出ているのも女性と子どもたちだけだ。厳しい冬に備えてみんなが夏の恵みを蓄えようとしている。


パスー→グルミット 移動

昨夜は星が見えなかった。06時に起床して外を見ると,小雨模様であり,正面の山には雲がかかっている。09時を回ると天気は少し良くなってきたのでチェックアウトして宿の前のKKHで乗り合いのワゴン車を待つ。30分ほどで車が止まってくれた。料金の25Rpはまあまあのところか。

パスーの村を過ぎてすぐに右にパスー氷河の白い輝きが見える。さらに2kmほど行くと左にパスーのつり橋が見える。僕が探していた地点からさらに下流側に1kmほど離れている。車はじきにグルミット村に到着する。


Gulmit Tourist Inn

グルミットで下車して集落の中心部に歩いて行くと「Shatuber Inn」があった。フロントで部屋代をたずねたら,荷物を持っていかれ半強制的に宿泊することになった。

350Rpの部屋は8畳,2ベッド,T/S付きで清潔である。部屋にはまったく不満はないけれど,350Rpは高過ぎるので翌日は別の宿に移動することにしよう。

次の日はKKH沿いにある「Gulmit Tourist Inn」のドミに移動した。ドミの建物はワーヒ人伝統の家屋で,天井の明り取りは独特の寄木細工のような構造になっている。床は土間よりも一団高くなっており,そこにふとんが敷いてある。1泊70Rpでシャワーの冷たさを除けば居心地はよい。

夜になるときれいな星空も楽しめる。困ったのはバッテリー・チャージ用のコンセントがないことだ。1日中電気が来ているわけではないので,通電時間をチェックして食堂の電気を使わせてもらっていた。

行進の練習を見ている人々

村の中心にポログラウンドと思われる広場がある。横に細長く,長手方向に観客席となる階段が設けられている。2日後に村のイベントがあるので,中学生は行進の練習をしている。

男子も女子も薄い草色もしくはピンクのチェックの制服である。女子は長い上着と同系色のズボンの組み合わせである。ほとんどがアーリア系の顔立ちで色は白い。一列になっている写真でチェックすると,この地域は美人の産地である。

ここで若いお母さんとかわいい子どもに出会った。ムスリムの社会では女性の撮影は難しい。しかし,この地域のムスリムは,主流となっているスンニー派やシーア派ではなくイスマイル派である。

写真をお願いするとあっさりお許しが出た。子どもの肌は抜けるように白く,ヨーロピアンの子どもだよと言われてもまったく違和感は無い。

行進の練習

ポログランドの子どもたち

中学生の行進の練習を見ようと回りにはかわいい見物人が集まっている。グルミットでは少女の写真を撮るのがけっこう難しかった。写真慣れしていないので,カメラを向けると恥ずかしがって逃げてしまう。幸い,一枚とって画像を見せてあげるとすぐに仲良くなることができた。デジカメの威力は絶大である。これからもこの作戦でいくことにしよう。

道を上っていくと子どもたちに出会う

麦の収穫は7月のようだ

製材所は繁盛している

盛装のワーヒのおばあさん

グルミットはパスーよりもはるかに人口が多い。KKH(カラコルム・ハイウエイ)沿いには何軒かの商店が並んでいる。そこで買い物をしているワーヒ人のおばあさんは,ワーヒの盛装と思われる服装をしていた。写真をお願いしたら右のおじさんがOKしてくれた。

民族の伝統衣装を写真に収められるのはとてもうれしい。ワーヒ人独特の平たい帽子と白いショールの組み合わせがとてもいい。画像をお見せして「ありがとうございます」と礼を言ってお別れする。

KKHには宿の看板が出ている

KKH周辺の風景

ダンスの練習

村のイベントの一つに子どもたちのダンスがあるらしい。村の集会所とおぼしきところで10人ほどの少女が先生から指導を受けている。部屋の周囲には大勢の小さなギャラリーがいる。

外で集合写真を撮る

しかし部屋の中は暗くていい写真にならない。外に出て子どもたちの集合写真を撮る。いろいろな顔の子どもたちが地域の多様性を示している。幸いなことにその延長で年頃の娘さんも写真に収まってくれた。

グルミットの吊り橋

広場にいると中学生くらいの子どもが「つり橋を見に行かないか」と誘ってくれた。ガイドブックにはそんな橋はないので聞いてみると,上流フサニのつり橋が壊れ,グルミットに新しいものができたという。

それではとガイド料20Rpで連れて行ってもらう。KKHをフンザ側に少し行き,川に下りると確かにつり橋がある。しかし,強風の風圧を受けないようにするため,横木と横木の間隔が50cmは離れている。地ガキは跳んで行ってしまったが僕は3歩進んであきらめた。

東ヨーロッパに見られる顔立ちである

子どものお守りは女の子の仕事のようだ

麦を刈る

北側に見えるカテドラルピークス

小粒のリンゴ

斜面を上る

子どもたちと出会う

ポログランドには今日も子どもたちがいる

三人とも似てるね

昼下がりのフンザ川

ジャガイモ畑の向こうに切り立った稜線が見える

高い山には雲がかかっている

おしい,フレームができなかった

ポログランドに面した雑貨屋の入り口で

グルミットの吊り橋からの眺望

グルミットの水源は氷河の融雪水である

イベントは外国人には非公開であった

2日後に行われた村のイベントはなぜか外国人には非公開であった。ポログラウンドの2つの入口には,チェックのため村人が立っており中には入れない。近くのゲストハウスのスタッフに招かれ,そこの庭からイベントを見学する。彼らの話では「アルカイダのメンバーが入り込むと村人の安全が脅かされるから」ということである。

広場では石段全体を覆うようにしてテントが張られている。ここが村人の見物席になっている。会場では楽隊の音楽に合わせ,行進が始まった。まったく退屈なので別の道を通り,背後の山に行くことにする。

ビューポイントに案内される

周囲の風景を眺め,写真を撮りながらのんびり坂道を登っていく。しばらくするとトラクター車がやってきた。荷車には子どもたちが乗っていたので一緒に乗せてもらう。結局,全行程の3/4を乗せてもらった。お礼として子どもたちにキャンディーをあげ,さらに上を目指す。

地元の子どもたちが岡の上を案内してくれた。ここは尾根になっており,後方にはシュトゥーバ氷河が間近に迫り,左にグルキン村,右にグルミットの村が見える。巨大な山群に囲まれた小さなオアシスのようだ。フンザ川から300mほど高いこのあたりまで,人々は等高線農業を営んでいる。畑の段差を支える石垣がマッチ箱を並べたように見える。

南の絶景

等高線農業と斜面農業

イベントに集まった人々

イベントが終わると写真も解禁される

夕刻のカテドラルピークス


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