亜細亜の街角
夕方からクロコダイル・ファーム周辺は陸の孤島になる
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ミリ  (地域地図を開く)

ミリはサラワク州の北部にありミリ川の近くに広がる人口21万人の街である。1910年にカナダヒルで油田が発見されてから急激に発展を遂げてきた石油の町であり,中国人の多いところである。ミリのあたりでミリ川は北を頂点とする逆U字に蛇行しており,さらに西側は海岸のすぐ内側を海岸に平行して流れている。ミリの町はこのミリ川の逆U字の中にほぼ収まっており,中心部はミリ川の河口に近いところにある。

北側はブルネイと国境を接している。ブルネイとの間はスンガイ・トゥジョーの国境が開かれている。この国境を両国人は身分証明書だけで行き来することができるようだ。また,旅行者にとってはグヌン・ムル国立公園やニア国立公園へのゲートウェイとしても知られている。

コタキナバル→ミリ 移動

コタキナバルからミリにはマレーシア航空の小型機で移動することになった。旅行予定はサンダカン→コタキナバル→ブルネイ→ミリであり,このルートなら陸路と船で移動できる。

しかし,ガイドブックには物価の高いブルネイで唯一宿泊可能なユースホステルは会員証がないと宿泊できないと記されており,ブルネイをスキップしてコタキナバルからミリに飛ぶことにした。

サンダカンのマレーシア航空のオフィスで料金を訪ねたところ,1週間前なら180リンギットのチケットがあると言われそのまま購入した。ということでコタキナバルには6日間滞在することになった。もっとも,元の計画ではキナバル山のロッジで2泊することになっていたので6日間は妥当なところであった。

実際にコタキナバルに到着すると2つのことが判明した。まず,ブルネイのユースホステルは会員証の有無に関係なく利用することができるということが分かった。それならば,元の計画のままコタキナバル→ブルネイ→ミリの行程が可能である。しかし,キャンセルのきかない航空券を購入してしまっているのでミリに飛んで,そこから陸路でブルネイを往復することになった。

もう一つは2007年が24リンギットであったコタキナバルのロッジの料金が2009年には120リンギットになっており,これはとても高くて宿泊できない。そのため,日帰りのツアーに参加することになり,主要観光ポイントは見学できたものの,自分の感性でゆっくり見ることはできず消化不良の感は否めなかった。

コタキナバルの宿を10時にチェックアウトしてバススタンドに向かう。17Bのミニバスが並んでおり,一番前に座る。ここは荷物を置くのに都合がよい。バスは見知った通りを走り,高規格道路に入り,ターミナル2の前で降ろしてくれた。1リンギットを出すと1.5リンギットであると訂正された。

ターミナルビルに入るためには片側3車線の高規格道路を横断しなければならない。近くの横断陸橋は通行禁止になっている。マレーシアの道路は車優先であり,この交通量の多い道路を横断するのは命がけということになる。幸い3kmほど町側に信号機のある大きな交差点があり,車の流れはときどき途切れるようになっており,なんとか横断することができた。

サバ州の玄関口となっているコタキナバル空港は近代的な建物である。フライトの2時間半前に到着したにもかかわらずすぐにチェックインすることができた。案内スクリーンにはROW B とだけ表示されており,他の便と一緒のチャックインとなっている。

出発案内のスクリーンにはほぼ同じ時間にエアアジアの便もあることが分かり,サンダカンで拙速に航空券を購入したことがさらに悔やまれる。

空港ビル内を一回りしてから搭乗待合室に向かう。ミリは同じマレーシア連邦内ではあるがサラワク州はちょっと手続きが異なる。そのため手荷物検査を受けてからイミグレーションでボーディングパスに出国スタンプに相当するスタンプを押してもらう。ミリに到着した時はパスポートのマレーシア入国スタンプの横にサラワク独自のスタンプを押される。

この飛行機はミリ経由でグヌン・ムルに向かう

搭乗ゲートA3は30分遅れでゲートが開き,パスポートと搭乗券を提示する。飛行機は40-50人乗りのプロペラ機で,機体には「MAS」と記されていた。この飛行機はミリ経由でグヌン・ムルに向かうことが分かり,いっそのこと巨大な鍾乳洞で有名なグヌン・ムルまで行くかという気になる。

コタキナバルの街を俯瞰する

熱帯雨林はどこにも残されていない

飛行高度は低いため,ボルネオの熱帯林と蛇行する茶色の帯を見ることができた。この茶色の帯の周辺は緑豊かな自然環境が残されているように見えるが,実際には海岸沿いの低地はほとんど開発されてしまっている。変わらないのは緑の中をゆっくりと流れる川だけであろう。

平地はプランテーションになっている

さらに先には人工的に区画された広大なプランテーションが広がっている。ここで栽培されているのはオイルパームと紙パルプ用の早生樹であろう。プランテーションは自然林を皆伐し,土地を区画し,単一樹種を整然と植林していく。

オイルパームにしても紙パルプ用の早生樹にしても生産性は高く,熱帯雨林地域の乏しい土壌栄養ではとてもまかないきれない。そのため,大量の化学肥料が投入される。見た目は森林であるが,その実態は農地である。

ミリの空港もかなり立派なものであり,イミグレーションでサラワクの入国スタンプを押してもらう。空港の外にあるBASと書かれた案内板の前で30分ほど待っているとバスがやってきた。このバスは市内のバススタンドまで行ってくれた。ここからブルネイ行きのバスが出る。一方,ビンツル行のバスは郊外の長距離バススタンドから頻発している。

ミリの宿

コタキナバルからミリに飛んだとき,週末であったためかミリでの宿探しには難儀した。バススタンド近くのJalan China やJalan South 沿いの安宿は改装中であったり,満室のためすべて宿泊不能であった。6軒目のVisa Inn でようやく部屋が見つかった。ここは8畳,2ベッド,トイレシャワー付き,A/C付きで45リンギットとお高い。さすがにとても清潔である。

ブルネイから戻ったときは26リンギットの部屋があるムヒバー・インにした。しかし,その部屋は満室で33リンギットの部屋になった。部屋は8畳,Wベッド,トイレシャワー付き,エアコン付きで清潔である。

ミリの町は緑が多く新しい建物が多い

赤系のプルメリア

ちょっと市場を覗いてみる

中心部の建物は新しくマレーシアの新興都市らしい

昼間の駐車場は夕方からはテーブルが並ぶ

シンガポールチキン

クロコダイル・ファーム

ミリの見どころの一つは市内から北に20kmほど離れたバラム川の河口近くにあるクロコダイル・ファームである。海岸線を幹線道路のJalan Luton Kuala Baram 通りが走っており,その近くである。ワニ園の詳細については「クロコダイル・ファーム公式サイト」を参照していただきたい。

僕は市内のバススタンドからNo.1のバスで行くことができた。ただし,この地域はブルネイ国境に近いミリの外れであり,夕方にバスの便が途絶えると帰れなくなるので要注意だ。園内では1,000匹以上のクロコダイルが飼育されており,餌の心配がない環境なので大半のものはひたすら寝そべっている。

施設の手前に大きな池がある

中に入ると蓮池が目につく

門を入ると大きな池があり,その向こうに施設が見える。かなり自然豊かな環境である。ワニの飼育に必要な水はバラム川から取水しているのであろう。入り口には象牙を交差させた像がありそこから中に入る。入園料は外国人料金で18リンギットであった。

時刻は15:30を回っていた。来るとき乗ったバスの運転手は最終バスが17:30と言っていたので,17時には外に出たい。小さな蓮池があり,一つだけきれいに咲いていた。しかし,水辺から少し距離があるので花を見下ろすように撮るのは難しい。

ガビアル

ワニはワニ目に属する動物の総称でありアリゲーター科,クロコダイル科,ガビアル科の3科に分けられることが多い。ワニは2.3億年前の三畳紀から現在まで生きのびている古い種であり,ほとんど形態的に変化していない。恐竜と同じ時代に繁栄し,陸上から海にまで多様な環境と食料に適応した種に分化している。

6500万年前の大絶滅から生き残り,現在の生息域も水辺に限定されている。その中で,ガビアルは口の先が細長い特徴を有している。ガビアルは主に魚類を食料としており,細長い口は魚を捕まえるのに適している。

クロコダイル

それに対してクロコダイルとアリゲーターは(魚を食べることもあるが)水辺にやってくるほとんどの動物を襲って,噛みつき,大きな獲物は水中に引きずり込んで窒息死させる。強力なあごの力で噛みつき,体を回転させて噛みついた部分を引きちぎる。大食いのイメージが強いけれど変温動物なので代謝量は小さく,日本の動物園では3mサイズのものにも週にニワトリ1羽程度しか与えていない。

コンクリートのプールでクロコダイルが飼育されている

鳩の集合住宅

この施設にはクロコダイル以外にも多くの哺乳類や鳥類が飼育されている。そのためけっこう駆け足の見学となった。ここに限らず,ボルネオ・マレーシアではバスを利用して遠くの施設を見学する場合は午前中がよい。

一本足の鳩小屋があった。逆ピラミッドの鳩の集合住宅である。中国や東南アジアだけではなく,世界の多くの国々では鳩は食材となっており,このような集合住宅で飼育している。比較的高級料理の範疇に入るので,僕はまだ鳩を食べたことはない。

ヒクイドリ

ここには珍しいヒクイドリがいた。ヒクイドリ(Casuarius casuarius,ヒクイドリ目・ヒクイドリ科)はインドネシア,パプアニューギニア,オーストラリア北部に分布する絶滅が危惧される貴重な鳥である。ヒクイドリ目の近縁種には南米エミューがいる。ヒクイドリ科は一科・一属となっており,三種が知られている。ヒクイドリはそのうち最大種で,ダチョウのような黒い羽根の胴部,首から上の皮膚は青,喉の赤い肉垂,さらに大きなとさかをもっている。

最大体重はオスで50kg,メスで30kgを越える。食性は果実を中心とした雑食性でであり,熟して林床で落ちている果実を丸呑みする。メスは卵を産むとその場を離れ,子育てはもっぱらオスの仕事となる。ここに飼育されているものは立派な成鳥で,柵が低いためこちらにやってくるとかなり怖い。

コハゲコウかな

体長1mほどの立派な鳥であった。頭頂部に羽毛が無いことからハゲコウの仲間と推測し,ネット上で画像を比較してコハゲコウ(コウノトリ目・コウノトリ科・ハゲコウ属)と判定した。分布域がインドから東南アジアにかけての地域なので,この施設にいても不思議はない。

特徴のある顔と光沢のある黒い羽根に目が行って,足元が入っていなかったのは残念だ。もう一枚の写真で確認すると水かきはそれほど発達していなかった。開発による生息地の破壊により,世界の生息数は7000羽を下回っており,絶滅が危惧される種である。

ミミズクは「耳のあるふくろう」という意味である

オオコウモリ

コウモリ目には1000種近い種が知られており,伝統的にオオコウモリ亜目とコウモリ亜目に分けられてきた。しかし,最近の研究ではコウモリ亜目は側系統であり,その一部はオオコウモリに近縁であることがわかった。とはいえ,外観上の違いとエコーロケーションの有無により,伝統的な分類の方が素人には分かりやすい。

コウモリの前足は親指を除いてすべて細長く伸びており,飛膜はそれらの指の間から後ろ足の足首までを結んでいる。前足と指を伸ばせば翼となり,折り曲げればマントのように体を包み込む姿になることもできる。オオコウモリは世界で150種ほどが知られており,アフリカからオセアニアにかけての暖かい地域に分布している。エコーロケーションを行わず,主に果実を食料としている。

ヤマアラシ

展望台の下は自然環境に近い

日暮れて道遠し

17時少し前にワニ園を出て,門のところでバスを待つ。ここはワニ園のスタッフに確認したところだ。ところが反対方向には4台もバスが通過するのに,こちら方向は1台もやってこない。バスの運転手に聞こうと反対側に行ったのが失敗であった。17:15にバスが通過してしまった。次のバスの運転手はこれは車庫に戻るもので,もうバスはないと宣言した。

幹線道路に出るとまだバスはあるだろうと考えて海岸近くの大きな通り(Jalan Luton Kuala Baram)に移動した。露店のおばさんはここでバスを待ちなさいと教えてくれたが,すでに太陽が沈みかけており,もう猶予はない。最後の手段はヒッチハイクである。しかし,マレーシアではヒッチハイクの文化は根付いていないようだ。夕暮れ時に不審な人物を送ってくれる車もなく途方に暮れていた。

ようやく1台のクルーザーが止まってくれた。怪しいものでないことをチェックされてから乗せてもらうことができた。車は石油関係の会社のもので,乗っていたのはヨーロピアンであった。彼は会社の駐車場で自分の車に乗り換え,運転手に僕をミリまで送るように指示してくれた。ミリのバススタンドに送ってもらい,運転手に50リンギットを手渡し,お礼を言う。

とはちょっと変わった取り合わせの朝食

06時に起床し,宿の向かいでもう営業している小食坊という中華系の食堂でワンタン・ミーとコーヒーをいただく。これで4.5リンギットは適正価格である。ここのワンタン・ミー(ワンタン麺)はスープなしであったが,途中でスープを入れてもらった。やはり,麺にはスープがあった方がよい。

この店はご飯もの,麺類,飲み物がそれぞれ別の店となっており,別勘定で支払う仕組みになっている。そのため,ワンタン・ミーに3リンギット,アイスコーヒーに1.5リンギットを個別に支払う。

ランビル国立公園に向かう

ランビル国立公園はミリから南に約30kmのところにある国立公園である。市内のバススタンドで「ランビル国立公園に行きたい」と告げると市バスに乗せられ,郊外の長距離バスターミナルで降ろされた。ここでシブ行のバスに乗り換える。僕のチケットにはランビルと記載されているので車掌と運転手に見せ,ランビルで降ろしてくれと念を押していたのにあっさり無視された。

途中でコテージが並んでいるところがあったのでそこで確認すべきであった。バスはミリから43kmのところにある小さな町で止まった。外に出て道路標識を確認すると,12kmほど行き過ぎていることが分かった。車掌も乗客もランビルなら少し戻らなければならないとつまらない助言をしてくれる。あまりにもあっけらかんとした車掌の態度に怒る気も失せてしまった。

道路の逆方向側でミリ行のバスを待っているとおじさんが話しかけてきた。ランビル国立公園に行きたいと言うと,彼は公園の関係者のようで10リンギットで行くと言ってくれた。時間も惜しいので彼の車で戻ることにした。ランビル国立公園はやはりコテージの集まっているところであった。ビジターセンターで入園料(5リンギット)を払い公園の中に入る。

この公園は面積が70km2,1965年から調査・研究が開始され,日本の大学や研究機関も参加している。1999年からは京都大学,愛媛大学,大阪市立大学,ハーバード大(米国),サラワク森林局が共同で長期生態観測を開始した。タワー・ツリーに代わり2000年には高さ93mの林冠クレーンが建設され,林冠の生態や熱帯林と気象の相互作用などの研究が進められている。

公園内はたくさんのコースに分かれている

ここは15年ほど前に訪問したことがあり,いくつかのところでは記憶と一致した。公園内はたくさんのコースに分かれている。それぞれのコースには所要時間が記載されているので,体力や滞在時間に合わせてコースを選択することができる。僕はラタック滝とニボン滝のコースを歩き,ニボン滝からは同じ道を戻った。

林床から見上げると空はあまり見えない。多くの若木が繁茂してその樹冠がキャノピーのようになっているからだ。この若木の中からひときわ大きなものが成長すると,巨大な樹冠が折り重なるように林冠を形成し,林床部にはほとんど光は入らなくなる。そのため,林床部の植生は少なくなり,歩きやすい環境になる。

小川の水はきれいだが茶色に見える

熱帯雨林は日光を巡る競争がし烈だ

熱帯雨林の樹冠

熱帯雨林(熱帯多雨林)は年間を通じて温暖で雨量の多い地域に形成される。そこでは多くの植物が繁茂し,陽光をめぐる競争が独特の森林を育ててきた。熱帯雨林に見られる植物の7割が樹木であり,垂直方向に層構造をもっている。光を得るため樹木は他のものより高くなろうとしてまっすぐに幹を伸ばす。そしてその最上部に枝葉を広げる。これが樹冠である。樹冠の高さは30-50mにも達し,球状もしくは傘状をしている。

トレイルにも板根が通せんぼする

熱帯雨林の樹木はできるだけ高く成長して光を獲得する基本戦略をもっている。一方,熱帯では有機物の分解が非常に早く,速やかに植物体に再利用されるので土壌は浅く貧弱となる。そのため,根を地中深くに伸ばしても栄養分が得られないので,浅いところを横に伸ばすことになる。

その状態で根は地上の幹を支えなければならず,板根という特異な構造を発達させた。幹に近い根は板状になり,それを四方に出すことにより幹を支えることができる。板根は浅いところを縦横に走るので,トレイルにも進出している。足元に注意していないとつまづくことになる。

ラタッ滝

ラタッ滝のコースでは3つの滝を見ることができる。3番目の滝は落差が25mあり,滝壺は天然のプールになっており,泳ぐこともできる。水の色は少し褐色が入っている。これは分解した植物から出たタンニンなどの色素を溶かし込んでいるためである。

樹冠の形状はよく分かるが・・・

トレイルの上の空間は開いているので林床にも光が届く

ヤシの仲間には3mほどの高さのものもある

土壌はごく浅いため根は地表を這うことになる

放射状の葉で日光を独り占めする

トレイルはよく整備されており,歩くには苦労しない。トレイルの両側には巨樹が多く,在りし日のボルネオ島の森林の様子が想像できる。巨大な板根がトレイルを横切っているところもある。植生は多様だ。ヤシやソテツの仲間と若木が太陽の光を受けようと競い合っている。

蝉の声はずっと聞こえていたし,鳥の声も何種類かを耳にした。しかし,本体はどこにも見えない。蝶を除き昆虫もほとんど見かけなかった。熱帯林では植物以外の生き物を見つけ出すのはとても難しいことなのだ。テレビの映像ではごく簡単に珍しい昆虫などが紹介されているが,それは熟練のガイドが時間をかけて見つけ出しているものである。

林冠研究のためのツリータワー

古い木が倒れると若木の背伸び競争が始まる

大きな樹冠によりある面積の光を独占してきた巨木にも寿命がある。そのような巨木が倒れると林床にも光が入るようになり,幼木や若木は競って成長を開始する。蔓性の植物も繁茂しいわゆるジャングルのような状態になる。

その中から競争に勝ったものが新しい巨木となり,その樹冠にさえぎられて他のものは成長が阻害される。ランビル公園における研究報告によると胸囲直径1cmの樹木密度は6000本/haを超えている。このような若木は古い巨木が倒れる機会をじっと待っている。

背伸び競争の勝者だけが生き残ることができる

トレイルにも板根が通せんぼする

大きな風車ができそうだね

地表を這う根も板根状になっている

■滝は特に見るべきものではなかった

奇妙な果実の房が垂れ下がっている

帰りは車に拾われる

帰りのバスを待っていると車が止まり,ミリまで5リンギットで行くと言う。この車はミリの空港で知人を送りに行くところであり,空港経由で街中のバススタンドまで送ってくれた。バス代が10リンギットなので,彼の好意に甘えすぎないよう10リンギットをお渡しする。

中国寺院

市内バススタンドの西側に中国寺院がある。内部は特に代わり映えはしないけれど,屋根の上の2匹の龍と入り口の柱に巻きつき2匹の龍の造形が見事だったので紹介する。内部には「福徳正神」が祀られており,その両側には「福徳護境百姓順」,「正神鎮座萬民安」の文字が記されている。戦乱の絶えなかった中国においては,神仏に平安を願う民衆の気持ちが読み取れる。

砂浜をつるで這って生息場所を広げる

寺院の裏手はもう水の流れていない旧ミリ川である。この辺りではミリ川は海岸線に沿って流れていたが,500mほど北側(上流側)に人口の水路ができ,下流側は白い貝殻が散らばる荒れ地となっている。西側にあった幅500mほどの植生に乏しい砂州は現在では陸続きになっている。

ここを横切ると防風林の向こうに海岸がある。その手前の砂地を這うように海浜植物が点々と茎を伸ばしている。多くは「グンバイヒルガオ」であり,中には名前の分からないものが面白い姿を見せていた。まるでミシンで砂地を縫っているようだ。防風林の先は大きな岩に守られた海岸になっており,ここはもう南シナ海である。

砂浜の北側には人工の水路がある

夕日の時間帯になる

砂浜の北側には人工の水路があり,そろそろ夕日の時間帯になってきた。沖合から船が水路に向かって近づいて来る。少し早い夕日に半分シルエットとなっている。夕日そのものは雲にジャマされて出来は良くなかった。明るさが残っている前に荒れ地を横切って町に戻ることにしよう。


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