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シルクロードとは

「シルクロード」とは中国,中央アジア,西アジア,ヨーロッパを結ぶ通商路の総称である。この優雅な名称は中国から輸出された代表的な産物である絹にちなんでヨーロッパで命名された。漢字一辺倒の中国でも「絲綢之路」とこれまた優美な呼び名になっている。紀元前から広大なユーラシアの主要都市を結ぶ通商路があり,そこにはさまざまな産物や文化が行き来していた。ある地域の産物を遠い地域に運ぶと何倍もの高値で売ることが出来る,この商業原理に基づき多くの商人が荷物を運んだ。そこにはユーラシアを東西に分断するパミール高原,炎熱の砂漠など多くの難所があり,盗賊も出没する危険なものであったことだろう。

シルクロードの東の起点は中国の長安(西安)であり西の基点はローマとなっている。もっともローマと地中海あるいは黒海の間は海路がメインとなっており,シルクロードの名前にふさわしいのは長安から地中海あるいは黒海の沿岸の都市までということになる。メインのルートは長安から西に向かい,天山山脈あるいはパミール高原を越え,中央アジアのオアシス都市を経て西アジアに向かうもので,前漢(紀元前2世紀)の頃には確立されていた。この他にも長安から雲南,ビルマを経てインドに抜けるルート(西南シルクロード,3000年前にはあったとされている)と広州からマラッカ海峡を通り,インド経由で東アフリカに向かう海のシルクロードもあった。しかし,海のシルクロードは宋の時代(10世紀)からと新しく,どちらかというと「スパイス・ロード」というべきものである。

固有名詞のついたシルクロード

固有の名前の付いたものは次の通りである。
@河西回廊:長安→蘭州→敦煌,漢人の支配が及んでいたのはこのあたりまで,この先は西域となる
A天山南路:敦煌→トルファン→庫車→喀什,天山の雪解け水によるオアシスをたどるルート
B西域南道:敦煌→楼蘭→和田→喀什,コンロンの雪解け水によるオアシスをたどるルート
C天山北路:敦煌→トルファン→イリ→(カザフスタン)→サマルカンド
Dステップ・ロード:長安→モンゴル→カザフスタン→ロシア南部→黒海に至る,牧民族の居住する草原の道
E西南シルクロード:長安→成都→大理→ビルマ→インドに抜ける最古の交易路